古本屋の殴り書き

書評と雑文

小説

赤誠の人物がいない/『勝海舟』子母澤寛

・学問への情熱が明治維新を導いた ・赤誠の人物がいない・『青い空』海老沢泰久 ・『氷川清話』勝海舟 ・『海舟語録』勝海舟 「全く人がない。出来る奴はいる、策の立つ奴もいる。智慧の溢れる奴もいる。外交折衝の巧みな奴も――。が、赤誠の人物がいない。…

アイディアに構成が負けている/『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文

・アイディアに構成が負けている・喜多川泰 『祇園四条(ぎおんしじょう)。祇園四条』 車内アナウンス。四条に着いて、何人かが降りようとする。 と、彼女は降りる人が通りやすいように体を動かし、移動する。それがとても上手で、かつ、まわりに細かく気を…

初歩的なミス/『ぼくんちの宗教戦争!』早見和真

・『イノセント・デイズ』早見和真 ・初歩的なミス【『ぼくんちの宗教戦争!』早見和真〈はやみ・かずま〉(幻冬舎文庫、2019年)】「この作品は、今回の安倍元首相の事件を予見していたかのようで鳥肌が立ちました」とのamazonレビューが目を引いた。『イノ…

良質なミルトン・エリクソン入門/『催眠ガール』大嶋信頼

良質なミルトン・エリクソン入門である。特に呼吸合わせが参考になった。 平凡な女子高生の成長物語である。普通の人々がこれほど大人しいことを知り驚愕した。私からすれば「病気」と言ってもいい精神状態である。正直、「エ!?」の連続であった。「ひょっ…

ディストピア小説の元祖/『われら』ザミャーチン

・『木曜の男』G・K・チェスタトン ・新世界秩序とグローバリゼーションは単一国を目指す ・ディストピア小説の元祖・『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー:黒原敏行訳 ・『一九八四年』ジョージ・オーウェル:高橋和久訳 ・『国難の正体 世界最終戦争…

日本を貶める目的で書かれた左翼文学/『神聖喜劇』大西巨人

大前田軍曹(※内務班長・陸軍)が何かのおりふし自発的に物語った(と私が主〈おも〉に人づてに聞き知った)戦場での体験談には、たとえば次ぎの三つがあった。【『神聖喜劇』大西巨人〈おおにし・きょじん〉(カッパ・ノベルス、1968年/光文社、1978年/文…

怒りと妄想のメカニズム/『自分を許せば、ラクになる ブッダが教えてくれた心の守り方』草薙龍瞬

・『ブッダは歩むブッダは語る ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う』友岡雅弥 ・『仏陀の真意』企志尚峰 ・『必生(ひっせい) 闘う仏教』佐々井秀嶺 ・『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』くさなぎ龍瞬 ・『反応しない練習 あらゆる悩みが消…

イライラの原因は自分の内側にある/『ソバニイルヨ』喜多川泰

・『賢者の書』喜多川泰 ・『君と会えたから……』喜多川泰 ・『手紙屋 僕の就職活動を変えた十通の手紙』喜多川泰 ・『心晴日和』喜多川泰 ・『「また、必ず会おう」と誰もが言った 偶然出会った、たくさんの必然』喜多川泰 ・『きみが来た場所 Where are you…

戒律/『千日の瑠璃』丸山健二

・『穴と海』丸山健二・『さらば、山のカモメよ』丸山健二・『メッセージ 告白的青春論』丸山健二・『ミッドナイト・サン 新・北欧紀行』丸山健二・『小説家の覚悟』丸山健二・『野に降る星』丸山健二 ・20世紀の神話 ・風は変化の象徴 ・オオルリと世一 ・…