・『知的生活の方法』渡部昇一
・『続 知的生活の方法』渡部昇一
・大村大次郎
・『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
・『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹
・taxと税の語源
・税を下げて衰亡した国はない
・現行の税金システムが抱える致命的な問題
・社会主義的エリートを政府へ送り込んだフェビアン派
・一律一割の税金で財政は回せる
・目次
・『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛、渡部昇一
・『封印の昭和史 [戦後五〇年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一
・『新世紀への英知 われわれは、何を考え何をなすべきか』渡部昇一、谷沢永一、小室直樹
・『消費税減税ニッポン復活論』藤井聡、森井じゅん
いまの税金システムのいちばん悪い点は何か。三つある。
一つ目は、日本国民を卑屈な、矮小(わいしょう)な人間にしてしまった点である。たとえば、交際費一つ取っても、「税務署が認めてくれるだろうか」と心配ばかりしている。(中略)
二つ目は、一定以上の収入が見込めるようになった途端、それ以上の努力をプラスに向けずに、節税というマイナス方向に向けはじめることだ。富を生む能力のある人が、これ以上は富を生産せずに、税金を取られない工夫に大きなエネルギーを使いはじめ、いつの間にか節税が仕事になってしまう。(中略)
三つ目は、政府が国民から自由を奪い取ってしまうことである。それは、税金が増える分だけ統制の度合いも進むためで、この理屈については第4章で述べる。【『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉(ワック、2012年/PHP研究所、1993年『歴史の鉄則 税金が国家の盛衰を決める』/PHP文庫、1996年/ワック文庫、2005年、改題改訂新版『税高くして国亡ぶ』/更に改題改訂したものが本書)以下同】
高額所得者がタックス・ヘイブンを利用したり、節税するところに納税感情が見て取れる。もしも徴税システムに国民が納得していれば、納税額の多さは純粋な名誉となるはずだ。更に人々は嬉々として納税することだろう。国家における喜捨の実現だ。
ところがどっこい金持ちほど納税を渋る。なぜなら税は無駄に使われ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)がそこに群がるためだ。天下り役員がいる企業に回される仕事は、税の無駄遣いの最たるものだろう。結局彼らの役員報酬にも税が宛てられていると考えてよい。
はっきり言おう。「この国に税金を支払う価値はない」。国税庁の調査官を務めた人物がそう綴っている。
産業革命は、土地によらない富を大量に生み出したという点で、まさに革命そのものであった。
渡部昇一は哲学博士だけあって巧みに歴史の本質をつかんでいる。つまり産業革命以降、付加価値創造が企業の仕事となったのだろう。
もしもスペインが商品経済市場をもっと重要視していたら、オランダやイギリスの進出をくい止めて、世界市場を支配できただろうが、富の生産以上に収奪してしまったので、繁栄は長く続かなかった。
ここに高い税負担の恐ろしさがある。国家の存亡がかかっているのだ。国民を守るべき国家システムが、逆回転をして国民に寄生すれば労働生産性が低くなった時点で国の将来はない。