・『知的生活の方法』渡部昇一
・『続 知的生活の方法』渡部昇一
・大村大次郎
・『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹
・『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一
・日本を凋落させた宮沢喜一
・私的所有権を犯した国家は滅ぶ
・貧富の差がないところは住みにくい
・規制緩和が税金を安くする
・「法」と「立法」を峻別する
・大蔵省の贋金づくり
・裁量権を認めるところに法の支配はない
・主税局の見解「所得税は7%で十分」
・『封印の昭和史 [戦後五〇年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一
・『新世紀への英知 われわれは、何を考え何をなすべきか』渡部昇一、谷沢永一、小室直樹
・『消費税減税ニッポン復活論』藤井聡、森井じゅん
アメリカを貧富の差が大きすぎると批判しますが、たとえばベトナム反戦でアメリカから外国へ逃げた者も、全部後で戻っています。アメリカは貧富の差が大きいからという理由でアメリカから逃げ出す者がいるかというとまずいない。
アメリカより公平そうに見える日本に来るかというと、絶対来ません。また貧富の差が少ないスウェーデンに移住しますか? 誰も行きません。なぜか? 貧富の差がないところは住みにくいからです。
貧富の差があるところはじつは貧民は住みやすい。貧乏人が集まっているところで掃除してもあまり金になりませんが、金持ちは自分で掃除をしたがりませんから、金持ちが多い地域では掃除をする清掃員はいい稼ぎになるのです。そして別の仕事への志があったら、そこから出発すればよい。(渡部昇一)【『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛〈かとう・ひろし〉、渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉(光文社、1999年)】
都市部に仕事が多いのは確かだろう。きらびやかな繁華街の近くには必ずスラムがある。「貧富の差がないところは住みにくい」との指摘は鋭い。西園寺一晃〈さいおんじ・かずてる/西園寺公望〈さいおんじ・きんもち〉の曾孫〉は『青春の北京』で文化大革命を礼賛しているが、中国に移住したという話は聞かない。
ただ、本書刊行時から20年余りで格差は拡大し続けて限界にまで近づいている。2020年のジョージ・フロイド事件でブラック・ライブズ・マターのデモは全米に広がり、至るところで暴動が発生した。警官は治安維持を放棄し、現在も尚、略奪行為がまかり通っている。
貧困と左傾化には相関性がある。働いても生活が楽にならなければ保護を求める心情が芽生える。賃金が上がらない状況に対して怒りが湧いてくる。まして日本の場合、失われた20年の間も実質的な増税が行われてきたのである。そしてロシアのウクライナ侵攻によって資源インフレの大波が押し寄せた。しかも円安ドル高のダブルパンチである。去る13日にはドル円が126円台を叩き、20年振りの水準となっている。
こういう時のために本来は先物相場が存在するのだが、リスクヘッジを促す投資会社が見当たらないのはまったく不思議である。コモディティ(商品)の価格が上がっているのだから、先物を買えばそちらの利益で現物の損失(値上げ)分を埋め合わせることが可能なのだ。
ソ連が実現した平等は「努力と才能を認めない社会」であった。それでは群れや集団を形成する意味がない。ソ連は滅んだが独裁制は滅んでいなかった。ロシア国民は吠え立てる犬がいなければ動かないのであろうか? そうではないと祈りたい。あの偉大なロシア文学を生んだロシアではないか。その愛すべき無骨がいつまでも独裁者を許すはずがない。