古本屋の殴り書き

書評と雑文

ヒューリスティクスとは/『世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ』マッテオ・モッテルリーニ

『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム
『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』デイヴィッド・イーグルマン

 ・予言の自己成就
 ・ヒューリスティクスとは

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー
『感性の限界 不合理性・不自由性・不条理性』高橋昌一郎
『しらずしらず あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』レナード・ムロディナウ
『売り方は類人猿が知っている』ルディー和子
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー

ヒューリスティクス(heuristics)】
 人が意志決定をしたり、判断を下したりするときに、厳密な論理で一歩一歩答えに迫るアルゴリズムとは別に、「直感」ですばやく結論を出す方法をいう。アルキメデスが「アルキメデスの原理」を発見したときに「ヘウレーカ(EYPHKA)」と叫んだことに語源があるとされる。


【『世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ』マッテオ・モッテルリーニ:泉典子〈いずみ・のりこ〉訳(紀伊國屋書店、2009年)】

 ロボットに何らかの行動を命じる時、何をどう認識させるのかが問題となる。環境情報は無限に入力することが可能だ。ところがコンピュータのCPU(中央演算処理装置)には限界がある。結局、「何を捨てるか」との判断を迫られる。こうした試行錯誤の中で注目されたのが「ヒューリスティクス」という概念である。

 人間が下す判断は「何となく」という場合が殆どである。どれほど熟慮を重ねようが、決断を下しているのは「電気信号のゆらぎ」である(『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?池谷裕二)。決意の0.5秒前から脳は動いているのだ(『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ)。

 私としては「直感」よりも「直観」と表現すべきだと考える。函数になぞらえれば f(x) のfが経験則でxを事象と考えればよろしい。私の脳内である何かと別の何かがつながって、新しい価値を生じた瞬間が「発見」である。

 ところが往々にしてヒューリスティクス認知バイアスに覆われている。人類が同じ歴史を繰り返すのも認知バイアスの成せる業(わざ)といってよい。

 直観は磨くことが可能だ。常に悟りを意識すればよい。