・斎藤公子のリズム遊び
・『脳は奇跡を起こす』ノーマン・ドイジ
・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
・『問いつづけて 教育とは何だろうか』林竹二
私が目のあたりにしたのは、特別な器具や薬を使うわけではなく、リトミックを土台に考案された「斎藤公子のリズム遊び」を軸にした保育でした。弱い生まれの子どもには、元気に生まれた赤ちゃんの何倍も何十倍も手をかけ、時間をかけ、その子にふさわしい刺激を与えること。また、生活リズムを調えることや有害なものから子どもを守ることの大切さを良心に伝え、家庭と連携して子育てをする、まさに「手塩にかける保育」でした。
あれから12年、あかりちゃん(※アプガー指数0点で生まれた)は2年間の母子通園を経て、何ら障がいを持つことなく立派に成長し、今ではバレリーナを目指す素敵な小学校6年生です。(穂盛文子)【『リズム遊びが脳を育む』大城清美〈おおしろ・きよみ〉編著、穂盛文子〈ほもり・ふみこ〉映像監督(太郎次郎社エディタス、2019年)以下同】
本書を結婚した人や妊娠した女性にプレゼントにするとよい。男性であれば妊娠~出産~幼児期のリスクが予想以上に大きいことを理解できる。「アプガー指数」なるものを私は初めて知った。
特に、子ども達を観察することにより編み出されていった「斎藤公子のリズム遊び」は、胎児期から様々な問題にさらされてこの世に生まれて来る子ども達の発達を助けた。脳神経系の発達の可塑性(かそせい)が著しく高い0歳児から1歳児までの保育に希望の光を当て、多くの子どもたちの障がいを軽減した。
また、子どもの幸せを願うあまり、誤った早期教育に走る親たちに警鐘を鳴らし、「子どもの本当の幸せとは何か」を説き続けた。子どもたち一人ひとりが尊厳に満ち溢れた子ども時代を送ることができる、そのような世の中をつくることをめざして、多くの人々とともに学び続け、命の限り実践し続けた保育実践家である。
斎藤公子は、さくら・さくらんぼ・第二さくら保育園創設者で、独創的な保育法を探究した人物である。
共産党支持者と思いきや、埼玉3区で立候補したこともあるようだ(1967年、落選)。
それでも本書を推す私の気持ちが揺らぐことはない。政治信条はともかく、斎藤メソッドが児童に与える影響は計り知れない。それを政治利用するのは保育園側の勝手だろう。