古本屋の殴り書き

書評と雑文

偏見まみれの文章/『U理論[第二版] 過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』C・オットー・シャーマー

 世界にはますます文化的ADHD注意欠陥多動性障害)が広がっている。それを支えているのは、さまざまな電子機器やアプリだ。

【『U理論[第二版] 過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』C・オットー・シャーマー:中土井僚〈なかどい・りょう〉、由佐美加子〈ゆさ・みかこ〉訳(英治出版、2017年/初版、2010年)以下同】

 一度挫けているのだが、由佐美加子が翻訳をしていたと知り再読した。30ページほどで挫けた。

「文化的ADHD」などという差別表現を平然と使っている。C・オットー・シャーマーはドイツ生まれらしいが、自分のWASP的発想に気づいていないのだろうか?

 二番目の初見は破壊的混乱の高まりに関するものだ。テクノロジーテロリズム。トランプ。気候の混乱。紛争地帯。難民。両極化。我々は破壊的混乱の時代に生きている。

 3Tとでも名づけたいのか? トランプ元大統領は反リベラルの象徴のように扱われることが多いが、あまりにも彼を支持した人々の民意を無視している。ポリティカル・コレクトネスを振りかざして政治家に品行方正を求めるよりも、政策を問うべきではないのか。

 日本にとってトランプ元大統領は恩人である。拉致被害家族を大切にしてくれたし、安倍元首相との友情もあって拉致被害に尽力した事実を忘れることはできない。

 スティーヴン・ホーキングも狂ったようにトランプ批判を展開していたが、商人を小馬鹿にする学者といった風情で、トランプを罵るためなら民主政を犠牲にしても構わないというほどの激情に駆られていた。

 具体的な事実や政策を批判することなく、ただ「トランプ」という名前を引っ張り出して、テロリズムと並べるような真似をする学者の本など、とても読む価値があるとは思えない。