古本屋の殴り書き

書評と雑文

人種によって罹患率が7倍も違う/『果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?』ロバート・H・ラスティグ

『砂糖の世界史』川北稔

 ・目次
 ・人類は太りすぎで死ぬ
 ・人種によって罹患率が7倍も違う

・『「お菓子中毒」を抜け出す方法 あの超加工食品があなたを蝕む』白澤卓二
・『砂糖をやめればうつにならない』生田哲
・『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』溝口徹
・『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』清水泰行
『血液型の科学 かかる病気、かからない病気』藤田紘一郎
『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実』デイミアン・トンプソン

必読書リスト その二

 メタボ症候群を抱えた男性は、メタボ症候群を抱えた女性に較べて、非アルコール性脂肪性肝疾患にかかる可能性が7倍高い。しかし、【かかりやすい病気を左右する最大の決定因子の1つは人種】だ。
 たとえば黒人は白人がかかる高中性脂肪血症(血中の中性脂肪濃度が高くなること)にはかからないが、体重にかかわらず高血圧を抱える傾向が高い。そのため、糖尿病と心血管疾患にかかる率が高いにもかかわらず、黒人は白人に比べてメタボ症候群を診断されることが少ないのだ。
 反対に、ラテン系アメリカ人は高中性脂肪血症にかかる率が高いが、高血圧を抱える率は低い。ラテン系の男性は、非ラテン系男性に比べて、メタボ症候群の診断がくだされる確率が7倍高いように見受けられる。
 こうしたデータが裏付けているのは、メタボ症候群に備わる人種・民族・性別による違いとそれらの要素が、診断のための確固としたカットオフ値の設定をとてもむずかしくしているという事実だ。

【『果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?』ロバート・H・ラスティグ:中里京子〈なかざと・きょうこ〉訳(ダイヤモンド社、2018年)】

 人種による差別は愚か極まりないことだが、人種の違いを弁える必要はある。では人種とは何か? DNA進化を促した地理的背景の違いという理解でいいと思うがどうだろう?

 ラティーノとは白人+黒人+インディアンの遺伝子混合である。メタボ率が7倍高いのはインディアン由来だろう。日本人も高いからね。歴史的な背景としては魚介類を中心とした食事で、脂肪を摂取する機会が少なかったためとの指摘がある(奥田昌子)。食料が豊富であったがゆえに脂肪を溜める必要がなかったのかもしれない。

 地理的背景は気候に支配され、食料に適した動植物も自ずと異なる。地中海周辺の島でソラマメを食べると死んでしまう民族がある(ソラマメ中毒)。流通手段が発達する以前は地産地消以外あり得なかったはずだ。つまり、極端に遠い地域で作られたものを食べるのは好ましくない。

 国内でも驚くほど罹患しやすい病気の違いがある。更に骨折は西高東低の顕著な傾向が見られる。

 上記記事では鋭い考察がなされており、食文化の相違が人体に及ぼす影響の大きさが理解できる。

 ただし、内臓脂肪を恐れる必要はない。なぜならダイエット(食習慣の見直し)を行えば真っ先に落ちてゆくからだ。