古本屋の殴り書き

書評と雑文

『BORO ベスト・セレクション TRUE-1013』BORO

フォークの素朴な響き~宋冬野、趙雷、BORO、下地イサム

 ・『BORO ベスト・セレクション TRUE-1013』BORO

ゴールデンベスト BORO アーリー・デイズ』(2750円)と殆ど同じラインナップだが廉価(1561円)となっている。なぜ、『走る階級 RUNNING』、『罪』、『愛』をそのままリリースしないのだろう? あまりの傑作ゆえか、BOROの才能は枯渇してしまった。だが、彼のミュージシャンとしての生命は、この3枚のアルバムと共に永遠である。

「走る階級」BORO


 おやじはあの朝 アルミの弁当箱をのせて
 自転車で町工場へと向かった
 朝の8時になればサイレンがせかす人の暮らしを
 母親は子供たちを外へ追い出した
 大太郎じいちゃんが孫の夕力坊を乳母車に乗せ
 ひからびた想い出を語りにくる


 少女はシルクのドレスに包まれてそれは優雅なものを
 光る妖精のような少女は


 垣根の向こう 芝生の上で今日も走っている
 でもあの娘は優雅に走る階級


 ロバのパン屋は一日一度広場に来るけど
 ねだればいい暮らしは知っていた
 泣かすにはいられない 多くの夜を過ごして
 人は人 夢を持てと教えられた
 それでも毎日が楽しかったのは
 あの少女のおかげ
 いつも通り過ぎるだけの少女の家


 ある日少女はシルバーグレーのジャガーに乗せられて
 俺の前を優雅に走り去った
 俺のいる階級はただがむしゃらに走る階級
 でもあの娘は優雅に走る階級


 ある日少女はシルバーグレーのジャガーに乗せられて
 俺の前を優雅に走り去った
 俺のいる階級はただがむしゃらに走る階級
 でもあの娘は優雅に走る階級