・『平成経済20年史』紺谷典子
・『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』リチャード・A・ヴェルナー
・大村大次郎
・この国に税金を払う価値はない
・40年以上に渡って少子高齢化を放置してきた政府と官僚
・『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一
・『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛、渡部昇一
「税金を払う奴はバカ!」
というタイトルには、二つの意味が込められている。
一つには、【今の日本で税金を払っても、全然、国や社会のためにはならない。】
それどころか、税金を払えば払うほど国が悪くなっていく。
どういうことかというと、今の日本の税制や財政は、矛盾の極致に行き着いていて、ごく一部のものだけがいい思いをし、大勢の人を苦しめるばかりものになっている。
考えてもみてほしい。
少子高齢化問題にしろ、これはある日突然やってきたものではない。
何十年も前から、このまま少子高齢化になることがわかっていたのである。しかし政治家や役人は、将来の危険が明白にわかっていながら、自分たちの既得権を守るためだけに終止し、国の結果を修正したり、将来の不安に備えたりすることをまったくしてこなかったのである。
現在の日本が、そういう国家システムになっている以上、この国に税金を納めても何にもならない。
「税金を払う奴はバカ」のもう一つの意味は、税金を黙って払っている人たちは税金のことをまったく知ろうとせず、節税策をまったく講じていないという事実がある。サラリーマンであっても、税金を減らす方法はいくらでもある。それをせずに、生活が苦しい、苦しいとばかり言っているのである。
また税金に関して無知な人は、税金の使われ方にも、あまり関知しない。
だから、政治家や役人は、彼らのことをナメきってやりたい放題にやってきたのである。彼らが黙って文句も言わず、税金を払ってきたことが、政治家や役人を増長させたのである。
つまり、彼ら国民も今の国家システムを間接的につくってきたと言える。
もし国民の多くが、もっともっと税金の取られ方、使われ方に関心を持っていたら、日本はこんなことにはなっていなかったと、筆者は思っている。【『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎〈おおむら・おおじろう〉(ビジネス社、2014年/改訂版、2022年)】
元国税局調査官が吐露する赤裸々な心情は皮肉や揶揄とは無縁だ。税のデタラメな使い方に対する正当な怒りで満ちている。自分の過去を否定するような文章を書くことは、ある意味で自分の体を傷つける行為と似ている。それでも尚書かざるを得ないところに著者の苦悩と正義があるのだろう。
本来であればジャーナリズムが行うべき仕事にもかかわらず、大村が指摘するような情報は週刊誌ですら報じていない。つまり彼らは血税を甘い汁と考える側の人間であり、不正を告発するよりも臭いものに蓋をするのが生業(なりわい)となってしまっているのだろう。
我々が「搾取され続ける」立場に甘んじているのは、税金の使途にあまりにも無関心であるためだ。また政治家や官僚、はたまた公務員に対する過剰な信頼感が存在する。かつての武士に対する信頼が歴史や文化に埋め込まれているように感じる。