古本屋の殴り書き

書評と雑文

錯視アート

 ・錯視アート

錯視

 幼い頃から「見る」行為の不思議さに魅了されてきた。錯視【できる】能力にその鍵があることを知ったのは30代に入ってからのこと。人間の知覚は現実を歪める。我々は眼で見ているわけではなく、実は脳で視覚情報を読み解いているのだ。これを敷衍(ふえん)すると、見ている人の数だけ世界が存在することが理解できよう。そして錯覚の最たるものは「私」という自我の存在である。この錯覚がなんとも奇妙な苦楽を生み出している。