古本屋の殴り書き

書評と雑文

クッション性の高いシューズが足のバイオメカニクスを損なう/『ケリー・スターレット式 「座りすぎ」ケア完全マニュアル 姿勢・バイオメカニクス・メンテナンスで健康を守る』ケリー・スターレット、ジュリエット・スターレット、グレン・コードーザ

『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード

 ・現代人は「座りすぎ」で死ぬ
 ・空軍パイロットの身体的ダメージ
 ・クッション性の高いシューズが足のバイオメカニクスを損なう

 セクション3で説明したように、バイメカニクスをサポートしない形の靴は、人間の身体を破壊する。たとえば、柔らかい靴を履いていると、身体をうまく支えられる姿勢を探して揺れ動き、体重が足部の外側にかかる可能性が高い。柔らかい靴は、身体を支えるためにアーチを崩し、足部と足関節のバイオメカニクスを損なわせる。足部のアーチは、本来、体重がかかる部分ではない。基本的なアーチの構造を考えてほしい。中央でアーチを支えるものは何もないはずだ。足部のアーチも同様である。支えるものは必要ない。崩壊したアーチの上に脊柱をセットすることは、砂の上に城を建てるようなものである。
 特に、ハイヒールは大きな問題である。靴がバイオメカニクスに影響を与えてしまうと、足部や足関節の問題、腰痛、骨盤底の機能不全などのリスクが高まる。ハイヒールで立っていて、不快に感じる場合は、まず座るべきなのだ!
 それでもハイヒールを履く習慣を変えられない場合、「自分の子供に一日中30度の傾斜で立たせることができるか」自分に問いかけることだ。声高らかに「ノー」と応えると想像できる今こそ、日常的に履くハイヒールを捨てるときなのである。(中略)
 平坦な靴は、バイオメカニクスにとてもよいものである。平坦な靴は「ゼロドロップ(踵が前足部より上がっていない)」状態であり、でこぼこの砂利道を歩くときに足部を傷めないだけの緩衝材がついていればよい。避けたいのは、前足部よりも踵が高くなっているヒールの靴である。靴箱にある靴を見てほしい。大多数の靴はある種のヒールを持っているはずだ。

【『ケリー・スターレット式 「座りすぎ」ケア完全マニュアル 姿勢・バイオメカニクス・メンテナンスで健康を守る』ケリー・スターレット、ジュリエット・スターレット、グレン・コードーザ:医道の日本社編集部訳(医道の日本社、2019年)】

 ランナーの走法が見直されたのは、クリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』(NHK出版、2010年)の影響が大きい。ララムリ(タラフマラ族)のサンダル(ワラーチ)ランニングが世界のランナーに衝撃を与えた(ウォーキングの極意/『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成)。それまでアクアシューズに特化していたビブラム社がランニングシューズを売り出したのが2009年のこと(吉野剛の裸足ランニング)。

 以後、「踵着地(ヒールストライク走法)が膝を壊す」ことが広く知られるようになった。

 昨今は安いベアフットシューズも出回るようになってきたので試してみるとよい。私がオススメするのは何と言っても地下足袋である。次にワラーチ。ワラーチと草鞋(わらじ)の音が似ていて不思議な気がするが、草鞋は傷むのが早いのでコストパフォーマンスが悪い。

 随分前に思いついたのだが、もしも私がワークマンの社長なら、女性を集めて「地下足袋ファッションコンテスト」を開催する。一定の売り上げが確保できれば、新しいデザインにも着手することが可能だろう。

 慣れないうちは歩きにくいが、歩きにくい分だけ足底筋を使っていることを確信しよう。大事なことはとにかく踵着地しないことだ。足裏全体を同時に着地するのが正しい。