・『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』伊藤祐靖
・能登半島沖不審船事件を傍観した自衛隊
日本体育大学に陸上短距離の特待生として入学。卒業後、海上自衛隊に入隊しました。約10年を艦艇勤務、簡単に言えば船乗りとして過ごし、1999年3月23日に起こった「能登半島沖不審船事件」をきっかけに、特殊部隊創設に関わることになります。
この事件が指す「不審船」とは、日本人拉致を目的とした北朝鮮工作船のこと。当時、私が航海長を務めていたイージス艦「みょうこう」が発見・追跡を行いました。拉致された日本人が乗せられている可能性も否定できず、海上保安庁の巡視船不在の状況下、初の海上警備行動が発令され、不審船への対応に対する命令が下されたのです。
不審船に乗船しているのは、北朝鮮国家によって訓練された武装工作員です。洋上で停止している不審船に立ち入り検査を強行すれば、切羽詰まった工作員が自爆自沈を選ぶであろうことは、容易に想像がつきました。検査隊員が巻き添えとなることも確実でしたが、結果的には、立ち入り検査は実行されず、死傷者がでることはありませんでした。【『とっさのときにすぐ護れる 女性のための護身術』伊藤祐靖〈いとう・すけやす〉(講談社、2015年)】
伊藤祐靖の著書を読むと平和憲法で手足を縛られている自衛隊が骨の髄までぬるま湯に浸かっていることがよくわかる。
「ミンダナオ島の二十歳そこそこの奴から、詔書の真意と日本という国の本質を教えられてしま」い、日本国憲法の異常さをも諭(さと)される始末である。江戸時代の武士が見たら哄笑することだろう。
「能登半島沖不審船事件」の件(くだり)は前にも読んだことがあるのだが、私は泣きたくなるほど情けない思いに打ちひしがれる。
結局のところ、「北朝鮮国家によって訓練された武装工作員」かどうかも確認せず、ただ恐れ、怯み、何もしないうちに海上警備行動が終了したことに胸を撫で下ろしているのである。アメリカやロシアや中国が同じ行動をするとはとても思えない。
自衛隊の「服務の宣誓」や「倫理行動基準」(PDF)を見ても、国民を守る覚悟がほぼ感じられない。もしも、自分の子供が拉致されたとしても彼らは首相官邸の指示に従ったのだろうか?
結果的に拱手(きょうしゅ)傍観したことで、その後の拉致被害が拡大した可能性はないのだろうか? この時、工作船を拿捕(だほ)して彼らが自爆したとしよう。遺体を捜索することで拉致被害を明らかにすることができる。たとえ、それで自衛隊員が死んだとしても、国民に対して火急の事態を知らしめることができよう。朝日新聞がどれほど騒ごうが、時の政権が吹き飛ぼうが、断行すべきではなかったか。
その柔弱振りと、市ヶ谷駐屯地の総監室前バルコニーで三島由紀夫の演説に野次を飛ばした自衛官の姿が重なって見える。
個人的にはこのタイミングで北朝鮮と戦争をするべきだったと考える。国民や国家を守るというのはそういうことだ。
憲法を口実に闘う精神を失った日本は、朝日新聞がデマを垂れ流し、日教組がいじめ自殺を隠蔽し、沖縄では左翼がやりたい放題という体たらくとなるのである。
拉致問題はいまだに解決していない。被害者や被害者のご家族が亡くなるのも時間の問題だろう。