「木材セラピー」は、我々の研究室名でもある「自然セラピー」の一つであり、2021年に宮崎良文・池井晴美が造語した言葉です。
【『木材セラピー 木のやさしさを科学する』宮崎良文〈みやざき・よしふみ〉、池井晴美〈いけい・はるみ〉編著(創元社、2022年)以下同】
基本的に横書きの本は読まないのだが半ばまで目を通した。狙いはいいと思う。
木肌に触れた時の心地よさは格別なものがある。日常生活の中ではほぼ失われてしまった。今じゃ俎(まないた)ですらプラスチック製だ。檜(ひのき)の風呂は高級旅館にしかないし、漬物樽も木製の桶(おけ)を使う人は少ない。曲げわっぱの弁当箱も長らくお目にかかってない。100年持つと言われる桐の箪笥(たんす)も高級品の代名詞だ。こうした樹木には抗菌作用がある。
木が、からだにやさしいことは、長い利用の歴史を通して、経験的に知られています。データ蓄積という観点から見た場合、これまで、アンケートが中心だったのですが、今のストレス社会において求められているデータは、そうではありません。ストレス状態にある我々の体が、木材によってどのようにリラックスするのか、生理的に、客観的に、明らかにすることなのです。
1982年に「森林浴」、1984年に「テクノストレス」が造語されたことからもわかるように、情報化時代となった40年ほど前に、世界は第2期のストレス社会に入りました。1991年から99年にかけて、通商産業省が、「人間感覚計測応用技術」という大型プロジェクトを企業とともに実施したことにより、ストレス状態の生理的評価法が飛躍的に進歩しました。脳波ではなく、光を用いる近赤外分光法による脳前頭前野活動、心拍のゆらぎ計測による交換・副交感神経活動などを用いた評価法などです。
経験的には理解できるのだが、如何せんニスや塗装が邪魔をしているケースが多い。具体的に木に触れることのできる何らかの製品を考えた方がいいように思う。例えば机や座卓など。木製の鞄(かばん)があってもいいだろう。名案が浮かんだ。マウスはどうだろう? 日常的に触れる機会があるから意外なヒット商品になるかもしれない。
フローリングに替わる板の間も考案して欲しいものだ。コルクと組み合わせれば断熱効果も高めることができるだろう。
木材は自然からの恵みである。特に湿度の高い我が国には木材建築の優れた技術が生まれた。コストはかかるかもしれないが木組みなどの技術は後世に伝えるべき文化であろう。
木と人間の親和性が書籍のページをめくる行為の捨て難さにつながっていると感じる。タブレットのボディを木にするのもいいだろう。
