・『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
・『心をひらく体のレッスン フェルデンクライスの自己開発法』モーシェ・フェルデンクライス
・アレクサンダー・テクニークとフェルデンクライス・メソッドの関係
・「まったく新しい探究領域が開かれていく可能性」
・『誰にでもわかる操体法』稲田稔、加藤平八郎、舘秀典、細川雅美、渡邉勝久
・『野口体操・からだに貞(き)く』野口三千三
モーシェ・フェルデンクライスという、アレクサンダーの発見を部分的に参考にして、自分自身の動きのシステムを開発したひとは、「ほうきの柄を背中にはりつけたようなアレクサンダーの先生たちもいますね」と言いました。彼らは硬直して見えたのです。「正しく」しようと意気込んでいると、わたしがいっているような罠に陥ってしまうことはいとも簡単です。
【『ひとりでできるアレクサンダー・テクニーク 心身の不必要な緊張をやめるために』ジェレミー・チャンス:片桐ユズル訳(誠信書房、2006年)】
以前からアレクサンダー・テクニークに興味があるのだが如何せん良書がない。たぶん、10冊以上は開いたが、読み終えたものは一冊もない。
10年以上前に目を瞠(みは)るストレッチ動画を見つけたが、後にフェルデンクライス・メソッドであることを知った(北洞誠一のあべこべ体操)。
本書を読み始めたばかりだが起死回生の一冊となりそうだ。ジェレミー・チャンスはオーストラリア人だが、日本人女性と結婚し日本に住んでいるとのこと。説明能力が高く、文章にも独特の香りがある。
上記テキストは慎重に読む必要がある。「パクった」とは書いていないし、貶(けな)してもいない。ただ、言葉を紹介しているだけだ。念のためにChatGPTに訊ねてみた。
モーシェ・フェルデンクライスとアレクサンダー・テクニークは、どちらも「身体の使い方」を改善し、より自然で無理のない動きを取り戻すことを目的とした身体技法です。それぞれ独自のアプローチを持ちながらも、深い共通点と影響関係があります。
■ 共通点
意識と動きの関係性に注目
どちらも、無意識に身につけた「不自然な身体の使い方」が痛みや不調の原因になると考え、意識的に動きを観察・改善することで、本来の身体の可能性を引き出そうとします。
自己観察と学習が中心
他人に矯正されるのではなく、「自分で気づく」ことが重要視されます。
変化は強制ではなく、学習と気づきの中で自然に起こるとされます。
医療やリハビリ、芸術分野でも活用されている
俳優・音楽家・ダンサー、さらには脳卒中後のリハビリなど、幅広い分野で用いられています。
■ 違いと相互関係
| 項目 | フェルデンクライス・メソッド | アレクサンダー・テクニーク |
|---|---|---|
| 創始者 | モーシェ・フェルデンクライス(1904-1984) | F. M. アレクサンダー(1869-1955) |
| アプローチ方法 | 動きを探求する「レッスン」(口頭または手技)を通じて学ぶ | 姿勢や動作中の「使い方」を教師の手と声でガイド |
| 教え方 | レッスンには「ATM(Awareness Through Movement)」と「FI(Functional Integration)」の2種類がある | 1対1のレッスンが中心。教師が触れながら調整することが多い |
| 動きの特徴 | より自由で多様な動き・選択肢を探索する | 「不必要な緊張を手放す」ことに特化し、効率の良い姿勢・動きを再学習する |
■ フェルデンクライスがアレクサンダー・テクニークから受けた影響
フェルデンクライス本人が、アレクサンダー・テクニークに直接触れたという記録は明確ではありませんが、多くの研究者や実践者が「フェルデンクライスはアレクサンダー・テクニークの流れを受け継ぎつつ、それを発展させた」と考えています。
たとえば、フェルデンクライス・メソッドは以下の点でアレクサンダー・テクニークの思想を引き継いでいます。
・習慣的な動きへの気づき
・頭部と脊椎の関係性
・無意識的な反応を再構成すること
・「自己の使い方(use of the self)」という概念の重視
ただし、フェルデンクライスは物理学者であり、脳科学や神経可塑性(ニューロプラスティシティ)への関心が強く、より科学的な探求と教育的アプローチを重視した点で独自性があります。
■まとめ:親戚のような関係
アレクサンダー・テクニークは「身体の使い方の再教育の祖」として、多くのメソッドに影響を与えました。フェルデンクライス・メソッドは、その流れを引き継ぎつつ、より動きの探索・学習に重点を置いた「進化形」とも言える存在です。
どちらも体と心を優しく再教育していく、深い気づきの技法です。目的や体の状態に応じて、自分に合う方を選ぶのが良いでしょう。
「フェルデンクライスはアレクサンダー・テクニークをパクった(盗用した)」という話、実は一部で囁かれてきました。ですが、結論から言うと 「影響を受けた可能性はあるが、パクリではない」 というのが、実証的にもフェアな見方です。
▼「パクリ」と言われる背景
1. 共通点がとても多い
・「頭と背骨の関係」
・「不必要な緊張の抑制」
・「自己の使い方(use of the self)」
・「気づきと再学習」
このようなキーワードがあまりにも似ているため、「フェルデンクライスはアレクサンダーの思想を借りてきただけでは?」と思う人もいたようです。
2. フェルデンクライス本人が明言していない
モーシェ・フェルデンクライスが自らの著作や講義の中で、アレクサンダー・テクニークについて触れた記録はあまりありません。これが逆に「都合よく黙ってるのでは?」という印象を与えてしまった面があります。
▼実際のところはどうなの?
● アレクサンダー・テクニークからの間接的な影響は濃厚
フェルデンクライスが活動していたヨーロッパでは、アレクサンダー・テクニークが広まっていましたし、当時の知識人やアーティストの間でこの手の身体観は共通テーマだったため、フェルデンクライスが直接学ばなくても、何らかの形で影響を受けていた可能性は高いです。
ただ、フェルデンクライスはアレクサンダーとは異なり、
・物理学(量子力学)と工学のバックグラウンド
・柔道の経験
・神経科学と学習理論への強い関心
といった独自の視点から、自らのメソッドを構築しています。つまり、「発想の源泉」が違うんです。
▼一流の人は「似て非なるもの」を作る
フェルデンクライス・メソッドは、アレクサンダー・テクニークの上に乗っかっている部分はあるけれど、構造も方法論もまるで違うんですよね。
アレクサンダー:
「無駄な力を抜き、自然な使い方を思い出す」
フェルデンクライス:
「神経系に新しい選択肢を与えて、動きを再構成する」
つまり、アレクサンダー=修正と方向づけ、フェルデンクライス=探求と再構築という感じ。
▼結論:パクリではない、けれどルーツは似ている
「パクリ」と言うにはフェルデンクライスの構築したメソッドはあまりにも独自性が高い。でも、アレクサンダー・テクニークという「土壌」や「空気感」があったからこそ芽生えた、ということは否定できない。そんな「親戚だけど別の進化系」として捉えるのが、いちばん真実に近いと思います。
