古本屋の殴り書き

書評と雑文

健康診断という洗脳


 欧米では、健診の効果を検証するため、多くの人たちを集めて、健診を受けるグループと受けないグループに分け、死亡率などに違いがあるかどうかを調べる臨床試験がいくつも行われています。12年、そうした臨床試験14件の結果をまとめた論文が発表されました。試験に参加した計18万人のデータを解析したところ、健診を受けた人と受けなかった人では、心臓病、脳卒中、がんによる死亡率や、全体の死亡率に差がなく、寿命を延ばす効果が見られませんでした。

 さらに、14年には、デンマークで30~60歳の6万人を10年間追跡調査した結果がまとまりました。健診を受けたグループには、5年間に4回の健康相談を行い、病気のリスクが高いと判断された人には、食事などの生活習慣や運動、禁煙などの指導も行いました。こうした手厚い健康指導にもかかわらず、健診を受けても、受けない場合と比べ、心臓病や脳卒中の発症率や全体の死亡率に違いがありませんでした。寿命は延びず、病気を予防する効果も見られず、健康増進にはつながらなかったのです。

健康診断を受けても健康寿命は延びない? | ヨミドクター(読売新聞 2018年6月18日)