古本屋の殴り書き

書評と雑文

「転倒」は、致死率の高い病気。たった1回の転倒が命を縮める理由

『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』小林弘幸
『本当に必要な「ゆるスクワット」と「かかと落とし」』中村幸男

 ・「転倒」は、致死率の高い病気。たった1回の転倒が命を縮める理由

「転倒は多くの人が抱える問題です。高齢者では65歳以上の2~3割の人が年1回以上転倒を経験し、80歳以上がさらに1割が増えると報告されています。過去1年で1度以上転倒した人は、次の年に転ぶ確率が約6倍高くなると試算があります。私が診ている患者さんたちも65歳以上の転倒した方の約半分は骨折し、そのうち、大腿骨という骨を骨折した人では約3割が1年以内に亡くなっています。それなのにコロナや肺炎の致死率は盛んに取り上げられますが、転倒の致死率の高さはあまり認識されていません」


 確かに、転んだり、つまずきやすい友人はいます。これらの報告を見ると、おっちょこちょいとか、あわてんぼうでは済まされません。しかも転倒すると、また転ぶのを恐れて、歩くことへの不安や恐怖心を抱くようになる「転倒後症候群」という病気になることがあります。たとえ転んだ時に無傷だったとしても、3年後まで不安障害は続くとの報告も……。1度の転倒からの「負のドミノ倒し」がいかに恐ろしいか、がわかります。


熊本美加