古本屋の殴り書き

書評と雑文

日本を貶める目的で書かれた左翼文学/『神聖喜劇』大西巨人

 大前田軍曹(※内務班長・陸軍)が何かのおりふし自発的に物語った(と私が主〈おも〉に人づてに聞き知った)戦場での体験談には、たとえば次ぎの三つがあった。

【『神聖喜劇大西巨人〈おおにし・きょじん〉(カッパ・ノベルス、1968年/光文社、1978年/文春文庫、1982年/ちくま文庫、1991年/光文社文庫、2002年)】

「三つ」とは次の通りである。

 一、人間(朝鮮人)を丸焼きにする方法。
 ニ、中国人捕虜を散々拷問した上で性交の実演を強要した。また中国人男性の睾丸を金槌で潰した。
 三、中国人婦人を夫の目の前で凌辱し、更に娘を輪姦した。

 本多勝一〈ほんだ・かついち〉と同じ臭いを感じたためパタンと本を閉じた。案の定、私の嗅覚は正常であった。

マルクス主義の立場を堅持し、唯物論的観点から個人の尊厳を創作で追究した」(Wikipedia)。賛辞の中に松本清張井上ひさしの名前があった。両者とも日本共産党支持者である。

 日本を貶(おとし)める目的で書かれた左翼文学と見て間違いあるまい。そして左翼の組織的な動きは侮ることができない。本書を元にした論文が多数あるのだ。こうして日本人に対する虚構の悪印象が、あたかも事実であるかのように広がってゆくのだ。

 皇軍の無責任を問うのは構わない。では、真っ先に戦争を煽った新聞や、それに乗っかった大衆の無責任はなぜ問わないのか? 軍部は最後の最後まで戦争に反対だった。天皇陛下も戦争を回避するよう苦慮を重ねていた。

 かつて女子高生コンクリート詰め殺人事件という惨劇があった。では、この事件を通して日本人の劣悪さを証明することは可能だろうか? 断じてそんなわけはない。ところが左翼という人種は挙(こぞ)ってかような論理を振りかざすのである。本作品もまったく同様であると断じておくものである。

 因みに上記事件は共産党員宅で行われた事実を付記しておく。