古本屋の殴り書き

書評と雑文

文庫本

サイコパスという鏡に映ったトップクライマー/『ソロ 単独登攀者 山野井泰史』丸山直樹

・サイコパスという鏡に映ったトップクライマー・『凍(とう)』沢木耕太郎 ・『銀河を渡る』沢木耕太郎 ・『ポーカー・フェース』沢木耕太郎 ・『白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻』NHK取材班 ・『垂直の記憶』山野井泰史 ・『アルピニズムと死 僕…

ヒトには2種類の情報がある/『養老孟司の人間科学講義』養老孟司

・『唯脳論』養老孟司 ・『カミとヒトの解剖学』養老孟司 ・『希望のしくみ』アルボムッレ・スマナサーラ、養老孟司 ・我々が知り得るのは「脳に起こっていること」 ・われわれが知っている世界は脳のなかだけだ ・ヒトには2種類の情報がある・『人類が生ま…

われわれが知っている世界は脳のなかだけだ/『養老孟司の人間科学講義』養老孟司

・『唯脳論』養老孟司 ・『カミとヒトの解剖学』養老孟司 ・『希望のしくみ』アルボムッレ・スマナサーラ、養老孟司 ・我々が知り得るのは「脳に起こっていること」 ・われわれが知っている世界は脳のなかだけだ ・ヒトには2種類の情報がある・『人類が生ま…

ネゲントロピー/『生命とは何か 物理的にみた生細胞』エルヴィン・シュレーディンガー

・ネゲントロピー・『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』カルロ・ロヴェッリ それでは、われわれの食物の中に含まれていて、われわれの生命を維持する貴重な或るものとは一体何でしょうか? それに答えるのは容易です。あらゆる過程、事象、…

ワシントン・ポー・シリーズの最高傑作/『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン

・『ストーンサークルの殺人』M・W・クレイヴン ・『ブラックサマーの殺人』M・W・クレイヴン ・『キュレーターの殺人』M・W・クレイヴン ・ワシントン・ポー・シリーズの最高傑作・『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン ・『くらやみの速さは…

息の文化/『呼吸入門』齋藤孝

・息の文化・『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター ・トッド・ギトリン ・『身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生』齋藤孝 ・『息の人間学 身体関係論2』齋藤孝 ・『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌 ・『肚 人間の重心』カールフリート・…

野口三千三と白川漢字学/『野口体操 マッサージから始める』羽鳥操

・『漢字 生い立ちとその背景』白川静 ・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴 ・『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編 ・『子どものからだは蝕まれている。』正木健雄、野口三千三編 ・『フェルデンクライス身体訓練法 からだから…

次の瞬間、新しく仕事をすることのできる筋肉は、今、休んでいる筋肉だけである/『原初生命体としての人間 野口体操の理論』野口三千三

・『漢字 生い立ちとその背景』白川静 ・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴 ・『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編 ・『子どものからだは蝕まれている。』正木健雄、野口三千三編 ・『フェルデンクライス身体訓練法 からだから…

魔法の体操/『原初生命体としての人間 野口体操の理論』野口三千三

・『漢字 生い立ちとその背景』白川静 ・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴 ・『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編 ・『子どものからだは蝕まれている。』正木健雄、野口三千三編 ・『フェルデンクライス身体訓練法 からだから…

体操とは/『原初生命体としての人間 野口体操の理論』野口三千三

・『漢字 生い立ちとその背景』白川静 ・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴 ・『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編 ・『子どものからだは蝕まれている。』正木健雄、野口三千三編 ・『フェルデンクライス身体訓練法 からだから…

蛇行しているのが川本来の姿/『武術を語る 身体を通しての「学び」の原点』甲野善紀

・『表の体育裏の体育 日本の近代化と古の伝承の間(はざま)に生まれた身体観・鍛錬法』甲野善紀 ・蛇行しているのが川本来の姿・『武術の新・人間学 温故知新の身体論』甲野善紀 ・『「筋肉」よりも「骨」を使え!』甲野善紀、松村卓・身体革命 この講義の…

不思議な違和感/『悲しみの秘義』若松英輔

・『ブレヒトの写針詩』岩淵達治編訳 ・『狐の書評』狐 ・『樹の花にて 装幀家の余白』菊地信義 ・『もう牛を食べても安心か』福岡伸一 ・『目の見えないアスリートの身体論 なぜ視覚なしでプレイできるのか』伊藤亜紗 ・『傑作将棋アンソロジー 棋士という…

赤誠の人物がいない/『勝海舟』子母澤寛

・学問への情熱が明治維新を導いた ・赤誠の人物がいない・『青い空』海老沢泰久 ・『氷川清話』勝海舟 ・『海舟語録』勝海舟 「全く人がない。出来る奴はいる、策の立つ奴もいる。智慧の溢れる奴もいる。外交折衝の巧みな奴も――。が、赤誠の人物がいない。…

ウクライナとナチス親衛隊/『聖ウラジーミルの十字架』イーヴリン・アンソニー

・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソ…

女の嫉妬が燃え盛るマフィア小説/『緋色の復讐』イーヴリン・アンソニー

・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソ…

女性情報部員ダビナシリーズの完結篇/『殺意のプログラム』イーヴリン・アンソニー

・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソ…

二重スパイのスカウト/『裏切りのコードネーム』イーヴリン・アンソニー

・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソ…

アイディアに構成が負けている/『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文

・アイディアに構成が負けている・喜多川泰 『祇園四条(ぎおんしじょう)。祇園四条』 車内アナウンス。四条に着いて、何人かが降りようとする。 と、彼女は降りる人が通りやすいように体を動かし、移動する。それがとても上手で、かつ、まわりに細かく気を…

「今ここ」で捨てる/『「捨てる!」技術』辰巳渚

・大欲不足 ・「今ここ」で捨てる・『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵 ・『コミック版 たった1分で人生が変わる片づけの習慣』小松易 ・『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』小松易 ・『たった1分で人生が変わる片づけの習慣 実践編』小松易 ・…

大欲不足/『「捨てる!」技術』 辰巳渚

・大欲不足 ・「今ここ」で捨てる・『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵 ・『コミック版 たった1分で人生が変わる片づけの習慣』小松易 ・『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』小松易 ・『たった1分で人生が変わる片づけの習慣 実践編』小松易 ・…

無意識の協力者/『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソニー

・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・無意識の協力者・『裏切りのコードネーム』イーヴ…

エスピオナージ四部作/『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー

・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・エスピオナージ四部作・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソニー ・『裏切りのコードネ…

「血の気が引く」ことの進化的意味/『破壊天使』ロバート・クレイス

スターキーの指が冷たくなった。頭の皮がちくちくした。俗にいう「血の気が引いた」状態だ。地を身体の中心部に集めることで、出血を最小限にして自己を守る、身体の仕組みである。むかし人間がまだ獣で、身の危険といえば爪や牙(きば)など人間を引き裂こ…

捨てると、変わる/『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』佐々木典士

・『「捨てる!」技術』 辰巳渚 ・『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵 ・『コミック版 たった1分で人生が変わる片づけの習慣』小松易 ・『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』小松易 ・『たった1分で人生が変わる片づけの習慣 実践編』小松易 ・『…

初歩的なミス/『ぼくんちの宗教戦争!』早見和真

・『イノセント・デイズ』早見和真 ・初歩的なミス【『ぼくんちの宗教戦争!』早見和真〈はやみ・かずま〉(幻冬舎文庫、2019年)】「この作品は、今回の安倍元首相の事件を予見していたかのようで鳥肌が立ちました」とのamazonレビューが目を引いた。『イノ…

19歳のハードボイルド/『一葉の写真』先崎学

・19歳のハードボイルド・『フフフの歩』先崎学 ・『先崎学の浮いたり沈んだり』先崎学 ・『山手線内回りのゲリラ 先崎学の浮いたり沈んだり』先崎学 ・『まわり将棋は技術だ 先崎学の浮いたり沈んだり2』先崎学・将棋 奇妙な光景だった。 竜王戦最終局、世…

武田惣角の振り棒/『剣豪夜話』津本陽

・『鬼の冠 武田惣角伝』津本陽 ・『孤塁の名人 合気を極めた男・佐川幸義』津本陽 ・『深淵の色は 佐川幸義伝』津本陽 ・日本刀の斬れ味 ・武田惣角の振り棒 道場には惣角が遣ったという、12キロの振り棒が置かれていた。振れば手首にかかる重量は6倍の72キ…

日本刀の斬れ味/『剣豪夜話』津本陽

・『鬼の冠 武田惣角伝』津本陽 ・『透明な力 不世出の武術家 佐川幸義』木村達雄 ・『孤塁の名人 合気を極めた男・佐川幸義』津本陽 ・『深淵の色は 佐川幸義伝』津本陽 ・日本刀の斬れ味 ・武田惣角の振り棒 巻藁を斬るときも、何の手ごたえもないのをふし…

「予言が自己成就しない」実例/『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』橘玲

・『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲 ・『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』橘玲、海外投資を楽しむ会 ・スピリチュアル=呪術的=無意識 ・反社会的な人間は心拍数が低い ・「予言が自己成就しない」実例 楽観…

長くて混乱する文章/『怒り』吉田修一

犯行現場となった尾木幸則〈おぎ・ゆきのり〉宅は八王子郊外の新興住宅地「けやきの丘」に建つ一戸建てで、南側に日を遮る障害物がなく、夫婦共働きのため一日中閉め切られていたはずの室内は、犯行が行われた午後6時半ごろには40度近くになっていたはずだ。…