・『秘密のファイル CIAの対日工作』春名幹男
・世界銀行とIMFの手口
・『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス
・『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン
スティグリッツ氏自身の経験によれば、エチオピアで初の民主的選挙で大統領が選ばれた際、世界銀行とIMFは新大統領と経済政策について協議した。その時、世界銀行とIMFは「海外からの援助金をアメリカ財務省の特別口座に預け入れるように」と命令したという。そうすれば4%の利息が支払われるとの提案だった。
しかし、エチオピアがアメリカの民間の金融機関から援助の一環として受けることになったドル融資には、12%の金利が付けられていたのである。世界銀行とIMFの言うことを聞けば、差し引き8%の金利となり、エチオピアの財政は新政権の発足から大赤字になることは明々白々であった。
当然のことながら、エチオピアの大統領は「国民の生活を改善するために融資を使いたいのでアメリカの財務省に預けることは勘弁してほしい」と懇願した。しかし、その願いは受け入れられず、アメリカの銀行から融資されたドルはそのままワシントンの財務省の口座に移し換えられたのである。
これが事実とすれば、「世界銀行やIMFはアメリカ帝国主義の手先だ」とするデモ隊の批判も一理あるといえよう。ちなみに、この衝撃的な内部告発をしたスティグリッツ氏は2001年のノーベル経済学賞の受賞者であり、決して根拠のない問題提起をしているとは思えない。
【『通貨バトルロワイアル』浜田和幸〈はまだ・かずゆき〉(集英社、2003年)】
これがパクス・アメリカーナの現実である。アメリカは基軸通貨であるドルを武器に発展途上国を狙い撃ちにするのだ。世界レベルの闇金がまかり通っているわけだ。
こうした悪行を知れば、西水美恵子〈にしみず・みえこ〉の本など鵜呑みにするわけにはいかない。
「われわれは、世界の大半において米国が、十分な根拠をもって、『テロ国家の親玉』と見なされている事実を認めるべきである」(ノーム・チョムスキー)
「アメリカの評論家ですらもが、テロリストの攻撃は、かなりの程度アメリカ自身の外国での行動の結果であったと述べているが、それは、軍事面ばかりか、大多数の国々に対する財政的な圧力を通じての行動を指している」(マイケル・ハドソン)
貧しい者の血を貪って肥え続けるアメリカの姿が生々しい。こうした格差がなくならない限り、共産主義者・社会主義者が絶滅することはないだろう。