そして日本ほど治安がよい先進国もありません。
日本ではどこかアパートやマンション、一軒家などを借りる際に治安を考慮する必要はないですが、ほかの国では場所も物件自体も安ければ安いほど安全性が低いということですから、死にたくなければ高い家賃を払ってそれなりの物件に住む必要があります。
町中でジャングル用のナタであるマシェティで襲われることもないし、硫酸をかけられて強盗されることもない。子どもが学校から無事に帰ってくるか心配する必要もなければ、中学生が家にマシンガンを隠し持っていて特殊部隊が突入することもないのです。
これらはつくりネタなどではなく、イギリスで実際に起きたことです。イギリス警察によれば、マシェティによる攻撃は2017年の2ヶ月間に928件も確認され、これを日割りにすると90分おきに発生したことになります。うち425件はロンドンです。
ロンドン南部のクロイドンでは、13歳の女子中学生が敵対ギャングとの抗争に備えて家のクローゼットにM-16に似たセミオートのマシンガンを隠し持っていたことが発覚し、15名の特殊部隊が突入して回収する騒ぎがありました。
日本では小学生がひとりで自転車に乗って塾に通えるくらい安全です。ほかの先進国では治安があまりにも悪いため、すべて親が車で送り迎えします。(中略)
日本は家賃も激安で、東京から少し郊外に足を延ばせば4~5万円の物件もあります。都心部でも他の先進国首都に比べ、とにかく安い。ロンドンやパリ、ローマにはそんな廉価な物件はまずありません。
たとえばロンドンのシティへの通勤で、ドアツードアで1時間以内の場所に20平米のワンルームのアパートを借りるとなると、家賃は15万円ほどします。同じような物件を購入するとなると、築80年で4000万円ほどです。郊外であっても、日本であれば誰も買わないような築60年の3寝室あるボロ家が5000万円ほどします。日本の都内近郊であればせいぜい5~600万円ほどの価値の物件です。
イギリスでは安い物件イコール超治安が悪い場所なので、死を覚悟する必要があります。ですから、住居にそれなりのお金をかけるか、経済的に余裕がない人はシェアをする、あるいは都心部からより遠くに住むしか選択肢はないのです。
【『世界のニュースを日本人は何も知らない』谷本真由美〈たにもと・まゆみ〉(ワニブックスPLUS新書、2019年)】
決して悪い本ではない。ただ、谷本には「悪しきマウント癖」があって読むに堪(た)えなかった。
海外で仕事をしようと考えている人や留学希望者にはお勧めできる。実際に日本人女性が強姦~殺害された事件は海外で起こっている。日本の常識を拭い去らなければ、思わぬ犯罪の被害に遭うことだろう。
谷本といえば忘れられないツイートがある。
家人は経済学をやっている人で、その研究仲間も経済学者ですが、日本では経済学の博士号すらない人が堂々とテレビに出て経済のことを語るのかと驚いています。RT @yorayora: @May_Roma 三橋何とかや渡邉何とかも追加してあげて下さい!
— 谷本真由美 (めいろま) 「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) June 29, 2014
この一言に彼女のスタンスが露呈している。学術マウントは本書の中でも随所に出てくる。ヨーロッパの貴族主義に毒されているのではないか。