古本屋の殴り書き

書評と雑文

ドローインの教科書/『1日1分で腹が凹(へこ)む 4万人がラクに結果を出した最高に合理的なダイエットの正解』植森美緒

 ・ドローインの教科書

お腹から悟る
身体革命

【お腹が出る原因は「運動不足」ではない】(中略)
 お腹が出る原因は何なのかというと、端的に言えば、【お腹を引っ込める筋肉を「使えていない」または「使っていない」】からです。

【『1日1分で腹が凹(へこ)む 4万人がラクに結果を出した最高に合理的なダイエットの正解』植森美緒〈うえもり・みお〉(ダイヤモンド社、2019年)以下同】

 確かに。目から鱗(うろこ)が落ちた。バズーカ岡田日体大教授)も「腹の贅肉は中々落ちない」と語っていた。ただし、あまり神経質になることもない。「人の目にどう映るか」ばかり気にしていると自分を見失ってしまう。肝心なのは不健康なボテ腹は「内蔵が下がっている」症状であると自覚することだ。

【腹直筋は、お腹を引っ込めることでしか集中的に鍛えることができません。】

 腹部の筋肉は4種類ある。

 まったく同じ速さで歩いたとき、無意識で歩くのにくらべ、背すじを伸ばしてお腹を引っ込めて歩くだけで、【消費カロリーが約40%も増える】ことが確認されています(科学的な呼気分析で測定)。
 1kgの脂肪を燃やすのにかかる時間を試算すると、お腹を引っ込めて歩く(時速4.7km)場合は約20時間です。【毎日1時間行った場合は、約20日で脂肪が1kg減る計算です】(体重70kgの場合)。

 何も不思議なことはない。全身の連動性が高まるのだろう。つまり悪い姿勢は必ず体のどこかに負荷をかけているのだ。それが習慣となった時にだらしのない姿勢が露見する。普通の生活をしていれば眼や指といった末梢ばかりを酷使することとなる。

 長く引っ込めるのが難しい場合には、【短時間を何度かというように、こまめに引っ込めて消費エネルギーをかせぐのでもOK】です。使っていなかった筋肉を、目的にふさわしい形で使うことが肝心です。

 やはり呼吸は「吐く」意識が大切なのだろう。息を吐き切った時に腹が引っ込んでいるかどうかを確認しよう。太鼓腹だと横隔膜の動きが鈍くなってお腹が引っ込むまでに至らない。

 総じて文章がよく、視野も広い。ダイエットの語源となったギリシャ語の「ディエタ」は生活習慣を意味する。何気ない習慣が不健康に結びつき、注意深い習慣が健康へと導く。

 悟りへの第一歩として本書を薦(すす)める。