古本屋の殴り書き

書評と雑文

1ドル=207円を目指すドル円相場/『相場の未来がズバリ読めるポイント・アンド・フィギュアで外貨投資に勝つ! だれでもできる「実戦相場予測」』松本鉄郎

 ・1ドル=207円を目指すドル円相場

・『勝者のCHART』松本鉄郎
・『最強のポイント・アンド・フィギュア分析』トーマス・J・ドーシー

中長期トレンド:98年8月の1ドル=147円を起点とする円高・ドル安トレンド
デインジャー・ポイント:1ドル=135円以上の円安・ドル高
短期的円高目標:107円50銭~104円50銭

【『相場の未来がズバリ読めるポイント・アンド・フィギュアで外貨投資に勝つ! だれでもできる「実戦相場予測」』松本鉄郎〈まつもと・てつろう〉(実業之日本社、2006年)以下同】

 昨年読んだ本である。ポイント・アンド・フィギュア(P&F)は古くからあるチャートだが使い手は少ない。そんなわけで採用している証券会社も少ない。読むに値する解説書も上記3冊しかない。

 そこそこ勉強したのだが長期取引となるため実行を躊躇(ためら)った。ローソク足だと週足・月足で取引しているような感じだ。含み損に耐え得る資金量がないと難しい。

『勝者のCHART』の終盤で松本は過去のエピソードを多数引用しているが、恐るべき精度で相場予測を行っていることがわかる。やはり大局に立った見方が大切なのだろう。

 もう一つ、現在の中長期円高・ドル安トレンドのなかで、将来垂直的な変動を示しそうな形状が形成されつつあります。それは、98年に147円をつけた時のヘッド・アンド・ショルダーズ全体をヘッドの一部とし、86年から90年夏までの価格帯を左のショルダー、98年の147円んから現在までを右のショルダーとするダイナミックなヘッド・アンド・ショルダーズです。
 このヘッド・アンド・ショルダーズのネック・ラインは右斜え上に傾斜した変形で、1ドル=135円に設定できます。
 そして、【1ドル=135円以上の円安・ドル高になると、現在の中長期円高・ドル安トレンドが壊れるだけでなく、今度は中長期円安・ドル高の中長期目標値が計測できます。その目標値は、1ドル=207円という壮大な円安・ドル高になります。現時点(06年5月8日)では短期的には円高・ドル安方向に相場が向っているし、中長期円高・ドル安のトレンドも崩れていないものの、86年以降形成されつつあるダイナミックなヘッド・アンド・ショルダーズの存在と相場の習性をあわせて考えると再び円安・ドル高方向への転換が起こり1ドル=135円のネック・ラインを突破してくる可能性は高いと予測します。】

 では、チャートを見てみよう(いずれもGMOクリック証券のプラチナチャート)。

 ドル円の年足チャートである。赤が陽線で青が陰線。左から3本目の陰線の上ヒゲが「147円」となる。確かに逆三尊(=ヘッド・アンド・ショルダーズ)を形成している。だが、それは今だから見えるのだ。本書が刊行されたのは2006年である。つまり松本は、2011年の安値を見据えた上で反転する可能性まで見渡せていたということなのだ。まるで飛行機か人工衛星からの視点である。 

 そして以下がP&Fチャート(月足)である。P&Fにはカギ足や新値足と同じく時間の概念がない。値動きだけに特化したチャートだ。特定の値幅をポイントとして、その値幅以上に動いた時だけ◯✕をつける。◯が下落で✕が上昇となっている。

 ローソク足よりも視認性が優れている。パッと見て直感的に方向性がわかる。207円の計算法は、135円-最安値+135円で求める。

「135円」を突破したのが2022年6月だった。そして去る4月29日にドル円は160.000を付けた。その後、二度の日銀介入で153円割れまで下げた。しかしながら、基本的にはアメリカが利下げをし、日本が利上げをするまでドル高基調に変化はないと判断する。むしろ日銀と政府はドル高を支えているようにすら見受けられる。一方で円安の犠牲を払っているのは国民である。食糧やエネルギーを輸入に依存する以上、あらゆる物がコストプッシュインフレを免れない。

 アメリカ国内は既に内乱状態にあり、ドル基軸体制もやがて崩壊すると考えているが、それがいつかはわからない。ただ、そう遠い日ではないことだろう。