・『悲鳴をあげる身体』鷲田清一
・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
・『究極の身体(からだ)』高岡英夫
・『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
・フェルデンクライス・メソッドはヴィッパッサナー瞑想だ
・『野口体操・からだに貞(き)く』野口三千三
・『原初生命体としての人間 野口体操の理論』野口三千三
・『野口体操 マッサージから始める』羽鳥操
・『「野口体操」ふたたび。』羽鳥操
・『カシミールの非二元ヨーガ 聴くという技法』ビリー・ドイル
・『瞬間ヒーリングの秘密 QE:純粋な気づきがもたらす驚異の癒し』フランク・キンズロー
・『運動能力は筋肉ではなく骨が9割 THE内発動』川嶋佑
・『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』日野晃、押切伸一
・『武学入門 武術は身体を脳化する』日野晃
・『月刊「秘伝」特別編集 天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編
レッスン1
よい動きとは/からだをひねって床に座る両足を肩幅くらいに開いて立ってください。膝(ひざ)を弛(ゆる)めて、右手の掌(てのひら)を下にして前の床の右足よりもやや左寄りの場所に下ろします。膝を曲げ、からだを捻(ね)じって楽に動けるようにしてください。両足の場所は変えないように。床に触ったら、元どおりにからだを起こし、動きに慣れるまでくりかえします。動きをつづけながら、床に触ったり起き上がったりする度に、骨盤がどのような軌跡を通るかに注意してください。
そこで今度は、もしも骨盤のたどる軌跡を、床に右手が触れるときの位置を通り過ぎて、さらにその先まで延長するとするならば、両膝が空間でどういう動きになるだろうか、と想像してみてください。またそのとき、からだはどうなるでしょうか? そして、骨盤は最後にどこに落ち着くでしょうか? 途中で動きを止めたり、からだの構えを直したりせずに、つながった動きにならなければなりません。右手が床に触ったら、そこに置いたまま、骨盤の動きの道筋を先へ延長するように両足を回すと、からだがぐるっと回って、後ろ向きにアグラをかいたような姿勢で座ることになりますね。今度は、右手を最初に床につけたときと同じ場所に置いたまま、これと逆の道筋をたどって、からだを起こしてください。上に向かって螺旋(らせん)を描いて動き、骨盤が同じ道筋を逆にたどるようにするわけです。座った姿勢になるとき、どちらの足が前にくるかに注意してください。起き上がったり座ったりする動きがなめらかにつながるようになったら、次には反対側で、左手を床につけるようにして同じ動きをやってみましょう。今度は、2~3回、どう動けばいいかを一とおり頭の中で考えてから実際の動きをはじめてください。【『心をひらく体のレッスン フェルデンクライスの自己開発法』モーシェ・フェルデンクライス:安井武〈やすい・たけし〉訳(新潮社、1988年/新版、一光社、2001年/原書、1984年)】
図書館から借りて読んだ後に購入した――と思っていたのだが読了ツイートがなかった。思い出した。テキストではあまりに動きがわかりにくいため、買ってからじっくり取り組もうとしていたことに。一応、必読書としておく。
本書はワークショップの内容を文字起こししたものだが、とにかくわかりにくい。上記テキストはレッスン冒頭のものだが、一度読んで理解できる人がどれほどいるだろうか? 私は5回くらい呼んでもわからなかった。実際に体を動かして「なーんだ」となった。やってみると簡単なことだ。
で、わかりにくいテキストを辿りながら、体を操作してわかったのだが、フェルデンクライス・メソッドはヴィッパッサナー瞑想だ。やればわかる。とはいうものの、私はヴィパッサナー瞑想をやったことがないのだが(笑)。
モーシェ・フェルデンクライスの言葉には、悟りのきらめきがある。悟性から発する英知がほとばしっている。武術の達人と同じだ。
尚、「からだをひねって床に座る」という訳はよくない。実際にやればわかるが体は捻(ねじ)っていない。骨盤が回転するのだ。何度かやると、最初は手に誘導されていた体が、骨盤中心のスムーズな動きとなる。実に巧みなリードだ。
最後に、安井武の名前の読みに間違いはないと思うが、本書のどこにも読み仮名がなかった。二流出版社はこれだから困る。