・『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー
・『聖ウラジーミルの十字架』イーヴリン・アンソニー
・ネオナチの極右勢力「アゾフ大隊」
・我々はすでに第三次世界大戦に突入した
ウクライナ問題は、元来は、ソ連崩壊後の国境の修正という「ローカルな問題」でした。(中略)
しかしこの問題は、初めから「グローバルな問題」としてもありました。
アメリカの地政学的思考を代表するポーランド出身のズビグネフ・ブレジンスキーは、「ウクライナなしではロシアは帝国にはなれない」と述べています(邦訳『地政学で世界を読む――21世紀のユーラシア覇権ゲーム』日経ビジネス人文庫』)。アメリカに対抗しうる帝国となるのを防ぐには、ウクライナをロシアから引き離せばよい、と。
そして実際、アメリカは、こうした戦略に基づいて、ウクライナを「武装化」して「NATOの“事実上”の加盟国」としたわけです。つまり、こうしたアメリカの政策こそが、本来、「ローカルな問題」に留まるはずだったウクライナ問題を「グローバル化=世界戦争化」してしまったのです。
いま人々は「世界は第三次世界大戦に向かっている」と話していますが、「我々はすでに第三次世界大戦に突入した」と私は見ています。【『第三次世界大戦はもう始まっている』エマニュエル・トッド:大野舞〈おおの・まい〉訳(文春新書、2022年)以下同】
「1977年には共和党に代わり人権外交を掲げる民主党のカーター大統領が誕生した。その大統領補佐官となったズビグニュー・ブレジンスキーはキッシンジャーとは対照的な世界観を持つ強烈な反ソ思想の持主である。その世界観が現在のウクライナ戦争に影を落としている」(田中良紹)。
アメリカの政治を牽引しているのはシンクタンクである。政策提言を行う政治学者や論客はユダヤ人が多い。政策の競争が行われていると言えば聞こえはいいが、「巧みな絵」を描くだけの競争に陥っているような節(ふし)もある。特に新自由主義の台頭以降は、国益よりも私利を追求しているような印象がある。
アメリカの基幹産業は軍需産業と保険・金融、医療である。製造した武器は売らなければならない。需要を減少させないためにアメリカは常に諸外国で戦争を起こしてきた。まるで消防士が放火をするような真似である。が、彼らはそれを「スクラップ・アンド・ビルド」とスマートに表現した。
アメリカにとっては「ゴー・ウエスト」が19世紀からのマニフェスト・デスティニー(明白な使命)である。映画や小説の「ウェスタン」とは西部開拓劇である。アメリカ・メキシコ戦争(1846-48年)でテキサスを分捕り、1898年にはハワイを併合し、米比戦争(1899-1902年)でフィリピンを植民地にした。その後、第二次世界大戦(1941-45年)で日本を半植民地化し、朝鮮戦争(1950-53年)、ベトナム戦争(1965-73年)、湾岸戦争(1990-91年)を経て、ウクライナを焚(た)き付けたわけだ。「アメリカ合衆国が関与した戦争一覧」を見よ。彼(か)の国が“世界の警察”ではなく、暴力団であることがよくわかる。
つまり、ロシアにとっては都道府県レベルの関係性なのだ。米英が軍事支援をしなければ、当初から戦争に至ることはなかったに違いない。アメリカは散々ガソリンを撒(ま)いておきながら、炎が上がった途端に文句を言っているのだ。しかも火災になった後もまだガソリンを投入している。
そろそろ滅んでもらった方がよさそうだ。