古本屋の殴り書き

書評と雑文

初歩的なミス/『ぼくんちの宗教戦争!』早見和真

『イノセント・デイズ』早見和真

 ・初歩的なミス

【『ぼくんち宗教戦争!』早見和真〈はやみ・かずま〉(幻冬舎文庫、2019年)】

「この作品は、今回の安倍元首相の事件を予見していたかのようで鳥肌が立ちました」とのamazonレビューが目を引いた。『イノセント・デイズ』が傑作だったので期待も大きかった。ところが、である。冒頭の場面で三人称と一人称が混在しているのだ。初歩的なミスである。初歩的ではあるが致命的だ。

 編集者も気づかなかったのだろうか? 幻冬舎なら仕方がないか。

 タイトルも「ぼくんチ」とするべきではなかったか。正確には「ぼくん家(ち)」である。「ぼくの家」で何がまずかったのだろうとも思う。「我が家」でもよかったし、「家族の」でも構わなかっただろう。タイトルを決めるのは出版社である。やはり、二流の感がある。