古本屋の殴り書き

書評と雑文

「私は在る(I Am)」の原典/『未来を改造する【ザ・パワー】のしくみ 想定の『超』法則』ネヴィル・ゴダード

『大丈夫!すべて思い通り。 一瞬で現実が変わる無意識のつかいかた』Honami
『「言葉」があなたの人生を決める』苫米地英人
『アファメーション』ルー・タイス
『「原因」と「結果」の法則』ジェームズ・アレン
『「原因」と「結果」の法則2 幸福への道』ジェームズ・アレン
『新板 マーフィー世界一かんたんな自己実現法』ジョセフ・マーフィー
・『準備が整った人に、奇跡はやってくる あなたの毎日が好転する15の方法』ウエイン・W・ダイアー

 ・「私は在る(I Am)」の原典

『ただ一つの真実、ただ一つの法則:私は在る、私は創造する』エリン・ウェアリー
『覚醒の炎 プンジャジの教え』デーヴィッド・ゴッドマン編
『誰がかまうもんか?! ラメッシ・バルセカールのユニークな教え』ブレイン・バルドー編
ただ〈在る〉/『“それ”は在る ある御方と探求者の対話』ヘルメス・J・シャンブ

必読書リスト その五

「『私は在る』が私である」   出エジプト記3:14

【『未来を改造する【ザ・パワー】のしくみ 想定の『超』法則』ネヴィル・ゴダード:林陽〈はやし・よう〉訳(ヒカルランド、2011年)以下同】

 やっと判った。非二元(アドヴァイタ)でやたらと目にする「I Am」の意味が。旧約聖書だったのか。

【「私は在る」は不滅の自覚であり、意識の中心にある感覚です】。自分がどこの誰かを忘れたとしても、自分の存在を忘れることはできません。「私は在る」という自覚はとどまります。表現する形がいかに変わろうとも、私という存在は不滅です。

 この大原則を知ることによって、【人は、よい運命も、悪い運命も、自ら決定していること、自分に対する考え方一つで生きる世界が決定することに気づくのです】。

 未来も過去も現在の一瞬に収まっていることが理解できる。未来は今にあり。生の扉を開く第一歩としてはわかりやすい。

 私は長らく科学と宗教に橋を架けるのは時間論だと考えてきた。悟りとは妄想から離れることである。妄想は比較から生まれる。自他の比較と過去・現在の比較とである。宇宙スケールだと光速度をもってしても100億年単位となり、素粒子のミクロ世界だとプランク時間に向かう。量子力学では存在が揺らぐ。素粒子の位置は確率としてしか表せないのだ。

 既に物理学においても時間の存在は否定されつつある(『時間は存在しない』カルロ・ロヴェッリ)。時間は概念なのだ。すなわち時間は脳の中にのみ存在している。

 悟りとは現在性にとどまることでもある。過去と未来はない。記憶とはエゴの異名だ。過去に支配されているうちは絶対に悟れない。過去という因果の物語で形成されているのが自我なのだ。欲望はおろか自我もまた妄想だ。「過去や自我があるという仮定」を我々は生きている。

「アイ・アム」のアイは小野不一〈おの・ふいつ〉ではない。今この瞬間に気づいている主体だ。「私」というスクリーンに映る世界を見ている視座だ。気づいていることに気づくのが悟りなのだろう。