古本屋の殴り書き

書評と雑文

睡眠時の口テープで鼻呼吸を促す/『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター

『勝者の呼吸法 横隔膜の使い方をスーパー・アスリートと赤ちゃんに学ぼう!』森本貴義、大貫崇
『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英
・『呼吸入門齋藤孝
『身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生』齋藤孝
『息の人間学 身体関係論2』齋藤孝

 ・睡眠時の口テープで鼻呼吸を促す
 ・5つのチベット体操

ヴィム・ホフ呼吸法
『火の呼吸!』小山一夫
『呼吸による癒し 実践ヴィパッサナー瞑想』ラリー・ローゼンバーグ
・『食生活と身体の退化 先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響』ウェストン・A・プライス

身体革命
必読書リスト その二

 マーク・バヘニ博士は口呼吸と睡眠の関係を研究して数十年、このテーマで本も書いていた。彼が話してくれたところでは、口呼吸は歯周病や口臭の誘因になるばかりか、虫歯の第一の原因で、砂糖の摂取や食生活の乱れ、衛生状態の悪さよりも害があるらしい(この考えは100年前からほかの歯科医たちが唱えていたもので、カトリンも支持していた)。バヘニはさらに、口呼吸がいびきや睡眠時無呼吸の要因になることを発見した。そこで夜はテープで口を閉じるよう患者に勧めていた。

【『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター:近藤隆文〈こんどう・たかふみ〉訳(早川書房、2022年)以下同】

 本来であればカテゴリーを「呼吸」にすべきだが、カテゴリーが増えすぎているので「呼吸法」とした。

 結局、私であれ誰であれ、本当に必要なのは切手サイズのテープを唇の中央に貼ることだけだと気づいた。チャーリー・チャップリン風の口ひげを1インチ下にずらす。それだけだ。この方法だと閉所恐怖症を感じにくいし、必要なら咳をしたり話したりするときに口の端を少しあけられる。試行錯誤のすえ、私は3Mネクスケア・デュラポアの「高耐久布」テープに決めた。汎用サージカルテープで、適度な粘着力がある。快適で、化学臭はなく、はがしてもかすが残らなかった。
 このテープを使いはじめてからの3日間で、4時間かいていたいびきがわずか10分になった。バヘニからスリープテープは睡眠時無呼吸の治療にはまるで役に立たないと忠告されていたが、私の経験からいえば、そんなことはない。いびきがなくなると、無呼吸もなくなった。

 覚え書きとして残しておく。私はセロテープでやっているのだが、ベタベタしていて気持ちが悪くなる。価格を考えれば紙テープでもいいかもしれない。私はバツ印のように貼っているが、V字型という手法もあるようだ。自分で試すのが一番だろう。

 職場でテレビを見ていて気づくのは口呼吸をしているタレントの多さである。特に若い女性が口を開けっ放しにしていると、だらしがなくて哀れを催す。

 一時期流行った鼻毛を抜くのも考え直した方がよい。鼻毛にはフィルターの役割があり、ゴミや微生物を除去しているのだ。

 睡眠に問題がある人は呼吸に問題があると疑ってみるべきだ。私は六十前後から仰向けで寝ることができなくなった。口が開いてしまうためだ。で、50代になると極端に寝返りを打たなくなった。朝起きると、長時間クルマを運転した時のような腰の強(こわ)張りがある。

 死と眠りは意識することができない。つまり、無意識領域なのだ。安眠こそが安らかな死につながる。眠りが浅い人は幽霊みたいに半分死んで半分生きているような状態になりかねない。

「口を閉じる」だけで健康になることができる人は想像以上に多い。