古本屋の殴り書き

書評と雑文

KKベストセラーズと細木数子/『細木数子 魔女の履歴書』溝口敦

 KKベストセラーズの社員が同社の内情を明かす。
「うちの書籍に関しては98~99%が細木関連です。会社全体の売り上げでいうなら雑誌もあるから3~4割ぐらいじゃないか。現在の社屋(豊島区南大塚)も細木さんの本のおかげで建ったことから“細木御殿”と揶揄(やゆ)されるほどです」

【『細木数子 魔女の履歴書』溝口敦〈みぞぐち・あつし〉(講談社、2006年講談社+α文庫、2008年)】

 吃驚(びっくり)した。2016年の売り上げが91億円である(Wikipedia)。すると六星占術は30億円前後も稼いでいる計算になる(2018年にはKKベストセラーズベストセラーズから版権を引き上げた模様→Wikipedia)。占いの需要もさることながら、人の心を動かす何かがあるのだろう。

 何となく池田大作と共通点があるような気がして読んだのだが数ページで挫けた。

 タイトルからわかるように中傷本である。取材はしっかりしているようだが、著者の性格の悪さが全開でとても読むに堪(た)えない。才能(文才)の使い方を誤っていることになぜ気づかないのだろう? 溝口が細木(ほそき)よりも売れる本を書くことは難しいだろう。