古本屋の殴り書き

書評と雑文

骨格の構造は思考から性格形成にまで影響を及ぼす/『身体構造力 日本人のからだと思考の関係論』伊東義晃

『人生、ゆるむが勝ち』高岡英夫
『究極の身体(からだ)』高岡英夫
『体の知性を取り戻す』尹雄大
・『筋力を超えた「張力」で動く! エネルギーは身体の「すきま」を流れる!動きの本質力向上メソッド』JIDAI
・『動きの天才になる』JIDAI
『生命力を高める身体操作術 古武術の達人が初めて教える神技のすべて』河野智聖
『月刊「秘伝」特別編集 天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』小田伸午
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午

 ・骨格の構造は思考から性格形成にまで影響を及ぼす
 ・人間は左側に重心をおく動物

身体革命
必読書リスト その二

 現代の医療の枠組みでは身体構造、とりわけ骨格と筋肉の構造があまりにも軽視されています。骨格は「構造の力」を持っています。その構造の力と機能があることで、人間は初めて二足で歩行することができるのです。その「構造の力」を十全に活かせない状態は、本来ならば必要のない筋肉の緊張や拘縮を呼び、様々な愁訴を引き起こします。
 骨格の構造はその人間の思考から性格形成、脳や内蔵の働きにまで多大な影響を及ぼしますが、

【『身体構造力 日本人のからだと思考の関係論』伊東義晃〈いとう・よしあき〉(幻冬舎、2020年)以下同】

 ひょっとすると現代人の抱える不安は骨格が原因なのかもしれない。椅子に坐り、ソファにもたれ、壁に寄りかかる習性が体のバランスを狂わせる。不自然な姿勢が健康を損なうのだ(『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード)。ヒトの骨格は立つようにできている。たとえ坐っている時でもこの意識が必要だ。上半身は立っているのだから。寝たきりの問題は筋肉を使っていないところにある。坐ることが可能であれば、なるべく坐らせた方がよい。

 私たちは漠然と「偏りのない身体が正しい」「左右差のない身体が正しい」と思っています。しかし、それは単なる思いこみに過ぎません。これは人間の持つ観念による勘違いなのです。(中略)
 人間がこの地球上に誕生してから、左右の脚の長さが同じであったことは恐らくありません。自然界のほとんどの事物は厳密にいえば対称なものは存在しないのです。私たちはそれぞれに自然環境に適応して生きています。歪みのない、完全なものがあるとすれば私たちの頭の中だけなのではないでしょうか。それは観念の世界のお話です。

 確かに。心臓は中央より少し左側にあるし、右脳と左脳の役割も異なる。最も重い臓器である肝臓は右重心だ。シンメトリーはどちらかというと西洋の価値観だ。日本人は少し歪んだ形に味わいを見出す。

 情報過多の現代社会は観念が身体を束縛する。そして体に本来備わっているはずの「ゆるみ」を失う(『悲鳴をあげる身体鷲田清一)。武術が注目される理由もこの辺りにあるのだろう。

 医師や整体を頼る前に、体の声に耳を傾けることが正しい。体の状態は正確な言葉で表すことが難しい。薬よりも、食事と運動が基本である。