古本屋の殴り書き

書評と雑文

「日本のナヴァル・ラヴィカント」になり得る人物/『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』佐藤航陽

『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール with ブレイク・マスターズ
『ジャック・マー アリババの経営哲学』張燕
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
ナヴァル・ラヴィカント「幸福の選択とは何なのか」
『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』エリック・ジョーゲンソン

 ・「日本のナヴァル・ラヴィカント」になり得る人物
 ・経済は「読み解く対象」から「創り上げていく対象」に変化

『お金の不安と恐れから自由になる! 人生が100%変わるパラダイムシフト』由佐美加子
『Dark Horse(ダークホース) 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』トッド・ローズ、オギ・オーガス

情報とアルゴリズム
必読書 その三

 お金が表舞台に出始まるのは、今から300年前の18世紀頃です。このあたりから社会の変化のスピードが劇的に上がっていきます。

 いくつかの革命が起き、「自由」・「平等」などの概念が広まり、個人が自分の人生を自由に選択できるようになります。
 同時に産業革命が起こり、農業から工業へと生活の中心が移っていきます。労働という価値を提供して「お金」という対価を得る労働者と、「お金」という資本を使って工場を所有する資本家に大別されるようになります。

 市民革命により貴族などの身分の影響力が薄れる一方で、工場を作るための原資である「お金」が非常に重要になっていき、労働者にとっても生活する手段として「お金」の重要性が高まっていきます。

 このあたりで【「身分」から「お金」へパワーシフトが起き、「お金」が社会の表舞台に主役として登場していきます(資本主義)】。

【『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』佐藤航陽〈さとう・かつあき〉(幻冬舎、2017年)】

 マネーと資本主義という観点からは、以下のリンク先関連書を参照せよ。

『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫

 佐藤航陽〈さとう・かつあき〉は1986年福島県生まれ。4人家族の母子家庭で、最も厳しい時は世帯収入が100万円台だった。大学に進学するも経済的な理由で断念せざるを得ず、1年生の時に起業した。そんな彼が個人資産200億円の企業家となるのである。ところがどうだ。サクセスストーリーを絵に描いたような人生でありながら、鼻持ちならないところが全くなく、不思議なほどサバサバしている。語り口はスピーディーで無駄がない。それでも彼を一言で評すれば「淡々」「飄々」といった風である。どこかスナフキン次元大介を思わせるところがある。たぶん、「有名」に価値を置いていないのだろう。承認欲求も甚だ稀薄だ。

スケールが桁違い!世界で躍進するメタップス佐藤航陽の経歴書 – WorkaHolic

 本書のページを開いた途端に「天才登場!」と思ったのだが、実際は「新人類登場!」なのだろう。正直に告白するが間もなく還暦を迎える私からすると佐藤は「進化した人間」である。それほどの衝撃を受けた。

 若い読者であれば読み過ごしている部分がたくさんあると思われる。それゆえ本書を書き写すことをお勧めしておこう。

“「身分」から「お金」へパワーシフト”の一言が卓見である。マネー経済の台頭や教会権力の凋落や王侯貴族の没落や工業化は誰もが知っていることだ。そこからこの一言を出せるのが天才の所以(ゆえん)である。抽象度が高いのだ。

 とはいうものの厳密には身分がなくなったわけではない。ヨーロッパには厳然と残っており、アメリカ社会もその影響から抜け出ているわけではない。例えば大統領の血筋など。しかも金融業から発達したマネー経済は当時からユダヤ人が支配しており、シティやウォール街を支配しているのもユダヤ資本と考えてよい。現在はあからさまなユダヤ人差別を避けるために「国際金融資本」と称する人が多い。

国際金融資本とは何か?→その答えは4つある【本質を理解しよう】 | 人生攻略.com
ユダヤ系民族の七大財閥とは(1) - 自由人のオーガニック畑
ユダヤ系民族の七大財閥とは(2) - 自由人のオーガニック畑
ユダヤ系民族の七大財閥とは(3) - 自由人のオーガニック畑
ユダヤ系民族の七大財閥とは(4) - 自由人のオーガニック畑
ユダヤ系民族の七大財閥とは(5) - 自由人のオーガニック畑
ユダヤ系民族の七大財閥とは(6) - 自由人のオーガニック畑
ユダヤ系民族の七大財閥とは(7) - 自由人のオーガニック畑
要約 ユダヤ系民族七大財閥(裏表) - 自由人のオーガニック畑
近代 - ユダヤ&国際金融資本の歴史 - atwiki

 以前、「反ロスチャイルド同盟」という有名サイトがあったのだが知らぬ間に消えていた。

歴代米国大統領は一人を除いて全て親戚?12歳の少女がカラクリを見破った 2012
アメリカ合衆国大統領の先祖の背景 - Wikipedia
米大統領の家系図

 つまり自由と民主主義(民主政)が実は操作されている可能性が高い。

 稀に新興の富裕層が出てきたところで彼らの脅威になることはあり得ない。死ねば相続税がかかるし、100年単位で見れば資産が一族に固定することすら難しいだろう。正真正銘の富裕層は消費者よりも国家を相手に商売を行う。そう。税金だ。政府予算をせしめる方が、ちまちまと物を売るより合理的だ。こうしたシステムが貧困の背景に存在する。彼らは政治家や官僚を巧みに手懐(なず)ける。

 そんな彼らにとって都合のいい経済システムがいよいよ崩壊しようとしている。佐藤が見つめているのはその向こう側だ。