古本屋の殴り書き

書評と雑文

九仞の功を一簣に虧くトランプ大統領批判/『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル

物語の本質~青木勇気『「物語」とは何であるか』への応答
『物語の哲学』野家啓一
『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫
『アラブ、祈りとしての文学』岡真理
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー

 ・コミュニケーションの主目的は「なびかせる」こと
 ・デジタル版「新パノプティコン」
 ・レトリックとは
 ・九仞の功を一簣に虧くトランプ大統領批判

『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ
『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』エックハルト・トール

デジタルトランスフォーメーション
必読書リスト その五

 本書の出だしで私が「【物語の語り手(ストーリーテラー)を絶対に信用するな】」と声を大にして訴えたとき、私はあなたに呼びかけていたわけではない。あなたのことを言っていたのだ。私たちは皆ストーリーテラーであり、だから信用してはいけない――誰よりも私たち自身が。
(中略)
 しかし他人の口臭に気づくのは簡単でも、自分の口臭にはなかなか気づけないものだ。読者は本書を読みながら、私の指摘が自分の気に入らない人々やナラティブに当てはまるさまを気分よく確認しつつ、自分自身の筋の通った世界観とアイデンティティに最も寄り添うナラティブは対象外としていたのではないだろうか。読者よ、私はあなたを侮辱しようとしているのではない。あなたもまた人間であり、だから程度の差はあれナラティブに自分を見失っていると想定しているだけだ。
(中略)
 私たちの頭の中の物語についても同じだ。疑う癖をつけなければならない。自分の物語の臭いをかいで、誇張、捏造、不合理その他のナンセンスがないか確かめなけれならない。この本は、取り上げたナラティブのさまざまな口臭とあなたもほぼ確実に無縁ではない、と友人としてあなたに伝える私からのメッセージだ。誰も無縁ではない。
 しかし、ストーリーテリングのバイアスも、他の自然な衝動と同様にある程度はコントロールできるようになると私は信じている。その衝動が実在し、なすがままにさせておけば私たちを道に迷わせることを理解するだけでよい。例えば、私は自分が興奮して道徳主義的な怒りの発作にとらわれていると感じたら――他人を悪者に仕立てて非人間化していると気づいたら――深呼吸して、物語を別の角度から想像しようとする。こうして脳の自動的なプロセスにある種の実行制御を行っている。これができないかやろうとしなければ、私は自分の頭の中の物語の主人ではなく奴隷にすぎず、自分を縛っている鎖の存在に気づくことすらできないために、ますます自堕落になる。

【『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル:月谷真紀〈つきたに・まき〉訳(東洋経済新報社、2022年)】

 トランプ大統領の名前を伏せた上で「でかメガホン」と散々揶揄中傷した後で書かれたテキストである。九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧(か)くも同然で、全ての主張が水泡に帰した感がある。知識人の限界や矛盾が露呈しており、アメリカ版宮台真司といったところだ。

 典型的なリベラルがしぶとく生き残っている事実が、アメリカ社会の闇の深さを示している。私からすればバイデン大統領は認知症小児性愛者にしか見えないのだが、ジョナサン・ゴットシャルにとっては「でかメガホン」をやっつける良心的な政治家のようだ。

 ジョージ・フロイド事件(2020年)は警官を萎縮させた。ブラック・ライブズ・マターの暴動以降、アメリカ国内は内乱状態に陥っていて、治安が乱れに乱れきっている。黒人は集団で万引きし放題。被害が一定額以上にならなければ逮捕できない法律となっているためだ。

 私は予(かね)てからアメリカを嫌悪している。なぜなら世界最大にして最凶のテロ国家であるからだ。その先鞭をつけたのが黒船であり、大東亜戦争であり、2発の原爆投下であり、勝手に作っていった平和憲法であった。

 というわけで、アメリカ国内が乱れるのは大歓迎である。リベラルを名乗る左派勢力がもっと強くなることが望ましい。バイデン政権が永久に続けばいい。

 当初、★五つの評価としたが一つに変更した。尚、稀代の悪書ではあるが必読書のままにしておく。