古本屋の殴り書き

書評と雑文

昭和の拷問王・紅林麻雄と袴田事件

『あの時、バスは止まっていた 高知「白バイ衝突死」の闇』山下洋平

 ・昭和の拷問王・紅林麻雄と袴田事件

日本の司法は発展途上国並み

清水署には紅林の下で働いた部下が何人かいた。結局、誰でもいいから犯人に出来る者を捕まえて無理矢理自白させればいい。証拠が必要ならば捏造すればいい。そうすれば何もかも安泰だ。

実際、稚拙な証拠を捏造し、袴田を死刑囚に仕立て上げた。紅林死すとも冤罪体質は生きていたのである。

だが、これらの警察、検察、裁判所の姦計も担当弁護士らの地道な尽力によって解明され、今、ようやく無罪判決に辿り着こうとしている。弁護士らの努力がなければ、袴田を始めあまたの冤罪被害者が刑場の露と消えていたことだろう。想像するだに日本の司法は恐ろしく発展途上国並みだと思わざるを得なくなる。

もし、袴田事件が無罪になったとしても喜んでばかりいられない。

現在、日本では「北稜クリニック事件」「日野町事件」「大崎事件」などのように牢獄から冤罪を訴えている人たちはまだまだたくさんいる。流れ作業のように判決が済んだからそれで終わりと刑務所、拘置所に放り込んでおくのではなく、無実を訴える者には納得するまで裁判を開き意見を聞いてやるべきだろう。

そうでなければ、無実の人たちを司法殺人で闇に葬ることになる。そうならないためにも警察、検察、裁判所にはより一層の慎重さを望むと共に、市民の我々も司法の動向を見据える必要がある。

具体的には証拠開示の制度化や再審開始に関する検察の抗告禁止などの法改正である。それらが確立しなければいつまた静岡だけでなく、自分の身の回りでも冤罪事件が起きないとも限らないからだ。

工藤 隆雄(フリーライター)

静岡県警が生んだ《昭和の拷問王》の呪縛に終止符か…再審判決「袴田事件」が突き付けた冤罪大国・日本の「司法のいい加減さ」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

自身が担当した幸浦事件(死刑判決の後、無罪)、二俣事件(死刑判決の後、無罪)、小島事件(無期懲役判決の後、無罪)、島田事件(死刑判決の後、無罪)の各事件で無実の者から拷問で自白を引き出し、証拠を捏造して数々の冤罪を作った。その捜査手法は紅林の部下も含めて静岡県警の警察官に影響を与えることになり、紅林自身は直接捜査に関与しなかったが袴田事件(死刑判決確定後、再審第一審にて無罪判決)などの冤罪事件を生む温床ともなった。

あらゆる手段を用いて被疑者を拷問し、自白を強要させるなどしたことから「昭和の拷問王」、「冤罪王」と称されている。

紅林麻雄 - Wikipedia

「『昭和の拷問王』が異名の公務員、怖すぎるよ」袴田事件の無罪判決によって『昭和の拷問王』紅林麻雄の存在にスポットが当たる - Togetter