古本屋の殴り書き

書評と雑文

目次/『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一

・『知的生活の方法渡部昇一
・『続 知的生活の方法渡部昇一
大村大次郎
『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹

 ・taxと税の語源
 ・税を下げて衰亡した国はない
 ・現行の税金システムが抱える致命的な問題
 ・社会主義的エリートを政府へ送り込んだフェビアン派
 ・一律一割の税金で財政は回せる
 ・目次

『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛、渡部昇一
『封印の昭和史 [戦後五〇年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一
・『新世紀への英知 われわれは、何を考え何をなすべきか渡部昇一谷沢永一小室直樹
『消費税減税ニッポン復活論』藤井聡、森井じゅん

必読書リスト その二


まえがき

第1章 「国民の富」を保つ歴史の法則
    ──税金が高いとなぜ国家は滅びるのか

1 高い税金はどうして国を貧乏にするのか
  税額と統制の度合いは正比例する
  有能な人材を徴税・脱税に使う愚かしさ
  日本国民を卑屈にした高率課税
  いちばん大切なのは「国民の豊かな財産」
  産業革命で富は「土地」から「商品」へ
  商品の力を知っていた信長と秀吉
  連歌師を驚かせた織田家の経済力
  「生産よりも収奪」がスペイン没落の理由

2 右と左の社会主義が国民の富を奪う
  「ヴィクトリア朝の妥協」が流血革命を阻止した
  自助努力派の台頭
  社会主義的エリートを政府へ送り込んだフェビアン派
  衝撃的な近衛文麿天皇への上奏文
  社会主義には右翼も左翼もある
  大恐慌の真因は一大関税障壁だった
  保護主義が生んだヒットラー政権
  ソ連経済の一時的成功が共産主義を浸透させる
  そして左翼社会主義者が残った

3 国民の富を奪えば国は自壊する
  レーニンに始まりレーガンに終わる
  東南アジア諸国の成功がソ連・東欧を追い込んだ
  ソ連・東欧は「自壊」したのだ
  人間性に反することは長続きしない
  「気紛れ」「酔狂」を許さない国は背骨を失う
  金科玉条「労働価値説」の誤り
  商品が無限に作れる時代の富とは何か
  例外と考えるべきは日本の土地


第2章 累進課税が日本を滅ぼす
    ──国力粗鬆症を防ぐ税の鉄則

1 この世には「払う税金」と「取る税金」しかない
  とにかく「巻き上げられる」のが税金
  土地や農業の税金はいつも難しい
  「みつぐ」は「公共のものを支える」ということ

2 カネは入っただけ必ず使われる
  税の本質、パーキンソンの第二法則
  税金の上限は回避する手間に等しい
  節度をわきまえていた昔の税金
  フランス革命の原因も重税
  重税がきっかけで独立したアメリ
  「代表なければ課税なし」はイギリス人の大発明
  戦時の増税は平時でもなくならない

3 誰も説明できない累進課税の正当性
  税率革命の首謀者、ロイド・ジョージの出現
  累進課税は「貧困への宣戦」として導入された
  累進課税を正当化できた人は、史上一人もいない
  本当の被害者は中流階級(サラリーマン)である
  高率課税は国家を骨粗鬆症にする
  まず能力ある個人が逃亡する
  正直者には税金、嘘つきには賞金
  累進課税が破壊した文化と伝統
  相続税による中産階級没落の風景
  私が見た黄昏のイギリス
  いよいよ日本の中産階級の没落がはじまった


第3章 「潰れっこなし」と考えれば日本は危うい
    ──サッチャー夫人に学ぶ「小さな政府」の作り方

1 「潰れっこなし」という傲りが招いた悲劇
   歴史に残るサッチャー夫人の仕事
   最大多数の最大幸福は本当に倫理的なのか
   倫理的に肩身が狭かった保守党の人々
   「潰れっこない」と思う人には金が怪しく見える
   金の力を知っている人は税金に頼らない

2 累進課税を支える嫉妬心
   「潰れっこない」と考える危険
   倫理の基盤は自由主義にある
   社会主義を支える感情は嫉妬である
   社会正義という仮面を被った嫉妬
   三権分立はフィクション、いまは二権分立
   階級間の憎悪は善で人種間の憎悪は悪なのか

3 やはり自助努力は不変の真理
  本当に勤勉な下層中流の自家営業者
  日本ならば中小企業経営者のなかにいる
  『自助論』をそのまま実行したサッチャー一家
  主婦の仕事を一切手抜きしなかったサッチャー夫人
  「ポジティブな考え方」
  自分の信念をあらゆる機会に繰り返す
  ハイエクの知的確信とメソジストの宗教的確信の融合


第4章 「配給」を排し、「自由」を育てよ
    ──ハイエク先生に学ぶ民富論

1 徹底的に「配給」を批判したハイエク先生
  「配給はだめなものだなぁ」という母の一言
  「配給は駄目、闇は正しい」とハイエク先生は言った
  フリードリヒ・ハイエクという人物
  「イギリス、アメリカのほうがドイツよりも危ない」と警告
  同じお客を右と左で取り合いしている

2 国民の富は自由経済市場から生まれる
  自由経済市場以外に「価格」は決定できない
  「知の驕り」を批判したヒュームの影響
  「人間の知力、頼むに足らず」
  どんなに優れた知性も自分以上に複雑なものは理解不能

3 「正義の味方」嘘八百
   民主主義は脇役、個人の自由こそ主役
   「倒産あり」の議員は「倒産なし」の官僚に勝てない
   「定期券で襲ってくる」強盗
   「正義の味方」嘘八百
   どうして「金持ち」を殺してはいけないのか
   商品が富になった時代の政府の役割とは


第5章 税率は「一律一割」が鉄則
    ──国民に富があってこそ真の文化が創造できる

1 一律一割税率で日本はこんなにいい国になる
  取る側も保証する「一律なら七パーセントでよい」
  全然他人事でないイギリスの失敗
  悪代官と佐倉惣五郎、どちらが正しいのか
  元々人間は不平等、だから平等に扱うべし
  土地だけは制限すべし
  後ろ向きの仕事がなくなり、生産的な仕事に生かせる
  税金逃れのエネルギーがすべて正のエネルギーになる
  国民のための富を海外に移してしまういまの税制
  脱税よりも悪い税金の浪費
  担当課長の出世のために税金が使われている
  パーキンソンの第二法則を裏付ける話
  誰が何と言おうと、天下りは「汚職」である
  「政府それ自身も制限されなければならない」
  「物価は一〇〇〇倍、国費は三万倍」

2 日本は国際化し、文化は甦る
  日本が世界のタックス・ヘイブンになる
  いまは土蔵文化、文化の本質は気紛れと酔狂
  パトロンが小粒なら、文化も小粒になる
  いまの税制が「悪しき会社人間」を作っている
  一律一割税率を憲法で制定せよ

3 税法10の鉄則


解説 竹内靖雄