古本屋の殴り書き

書評と雑文

日本を凋落させた宮沢喜一/『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛、渡部昇一

・『知的生活の方法渡部昇一
・『続 知的生活の方法渡部昇一
大村大次郎
『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹
『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一

 ・日本を凋落させた宮沢喜一
 ・私的所有権を犯した国家は滅ぶ
 ・貧富の差がないところは住みにくい
 ・規制緩和が税金を安くする
 ・「法」と「立法」を峻別する
 ・大蔵省の贋金づくり
 ・裁量権を認めるところに法の支配はない
 ・主税局の見解「所得税は7%で十分」

『封印の昭和史 [戦後五〇年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一
・『新世紀への英知 われわれは、何を考え何をなすべきか渡部昇一谷沢永一小室直樹

必読書リスト その二

 日本ではケインジアンが多く、ハイエクのことを自由という名の無策主義などと鼻であしらいたがる人も結構多いけれど、そういう人はじつは日本経済の長期低迷の原因を把握していないケインジアンケインズ半可通(はんかつう)だと、ケインズの理論で育った私が断言しておきます。ケインズを学びながら、ケインズ嫌いでケインズの本質を理解していないのがじつはこの国の財政を担当している大蔵官僚のほとんどであり、それがために現在日本はなかなか長期不況から脱しれきれない。
 しかし経済企画庁の官僚たちは見事にケインズ信奉者、ケインジアンなのです。経済官僚とひとくちに言っても経企庁エコノミストと大蔵官僚とはケインズをめぐって全くちがうのです。そうした生半可(なまはんか)ケインジアンの象徴ともいえるのが現(小渕改造内閣)大蔵大臣の宮沢喜一(みやざわきいち)氏なのです。
ケインズを批判する人が多いが、そういう人はケインズの本を読んでいないようですな」
 宮沢さんは国家(ママ)答弁でそう述べましたが、私に言わせるとそんなことを恥ずかしげもなく言ってのける宮沢蔵相こそケインズを正しく読んでいないのではないか。かつての日本のバブル経済になんの有効な手だても打たず、あげくバブル崩壊後の施策を間違い、日本経済を塗炭(とたん)の苦しみに追いやった責任者の一人が宮沢喜一氏であるのは疑いようのないことだと思います。(加藤寛


【『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛〈かとう・ひろし〉、渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉(光文社、1999年)以下同】

 加藤寛は経済学者で政府税制調査会の会長を務めた人物である。宮沢喜一首相については渡部昇一が駄目を押す。

 ところで加藤さんが触れられた宮沢喜一氏について私も言及しておきますが、あの人は本当にどうしようもない、日本のためにはならない、なまじ自民党内での地位を確保しているだけになおさら最悪の政治家だと私は思っています。
 経済面での失敗はもちろんのことですが、中国や韓国との関係を異常に歪めた張本人である宮沢喜一なる人物を私は許せない。ご承知のようにかつて中国が、日本の教科書はアジアへの「侵略」を「進出」に書き換えたと、日本の新聞の誤報をもとに批判してきたときに、それは誤報であるとの指摘があり、産経新聞誤報陳謝の記事を出したことによって、北京政府は抗議を取り下げたのです。それをなぜか誤報が明らかになった後になって謝罪し、あろうことか以後の日本の教科書は周辺諸国民の感情を考慮する云々(うんぬん)と伝えたのです。
 以来、ことあるごとに日本の国内問題にまで、中国や韓国がいたずらに謝罪を求めてくるようになりました。(渡部昇一

 宮沢内閣において河野洋平官房長官が発表したのが所謂「河野談話」(慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話)である(1993年)。天安門事件後の天皇陛下訪中を段取りしたのも宮沢内閣であった。後に小沢・羽田グループが造反し、内閣不信任案が可決された。総選挙では日本新党ブームが沸騰し、自民党が戦後初めて下野した。つくづく指導力を欠いた首相であった。

 日本を凋落させた宮沢喜一という首相を忘れてはなるまい。