古本屋の殴り書き

書評と雑文

2ページで挫ける/『時計仕掛けの歪んだ罠』アルネ・ダール

 醜くて素敵なボートハウスがひとつぽつんと建っている。


【『時計仕掛けの歪んだ罠』アルネ・ダール:田口俊樹〈たぐち・としき〉訳(小学館文庫、2020年)】

 田口俊樹の文章が苦手だ。散々悪口を書いてきたが、やはり駄目だった。石田善彦と田口は避けた方がよさそうだ。

「醜くて素敵な」とはどういう状態なのだろう? 「古くて素敵な」であればわかる。「みすぼらしいが素敵な」でも理解可能だ。思い切って「鄙(ひな)びた風情(ふぜい)の」とでも訳せなかったのか。

 続く文章がまた悪い。「ひとつ」は不要だ。文章が重言っぽくなっている。とても読めた代物ではない。