古本屋の殴り書き

書評と雑文

常識の力/『仏陀の真意』企志尚峰

『ブッダは歩むブッダは語る ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う』友岡雅弥

 ・常識の力
 ・馬脚を露わす

・『悟りは3秒あればいい小林正観
『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』くさなぎ龍瞬
『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』草薙龍瞬
『自分を許せば、ラクになる ブッダが教えてくれた心の守り方』草薙龍瞬
『怒らないこと 役立つ初期仏教法話1』アルボムッレ・スマナサーラ
『怒らないこと2 役立つ初期仏教法話11』アルボムッレ・スマナサーラ
『ブッダが説いたこと』ワールポラ・ラーフラ

ブッダの教えを学ぶ

 このように、変化には喜びをもたらすものがありますから、無常というのは変化という意味ではありません。
 無常とは、生じれば滅する、と言う意味です。
 つまり、無常の法とは生滅の法のことなのです。

 もろもろのつくられた事物は、すべて無常である。
 生じては滅びる性質のものである。
 それらは生じては滅びるからである。
 それらの静まるのが、安楽である。
     ――相応部経典 第1篇 神々について

 すべての現象は、生じれば必ず滅するから苦なのです。
 これを、仏陀は、『無常であるものは苦である』と言いました。
 すべての存在は、生じた途端に滅に向かっているのです。
 ですから、苦なのです。

【『仏陀の真意』企志尚峰〈きし・しょうほう〉(幻冬舎、2022年)】

 半分ほど読んだところである。常識の力で既成仏教の手垢にまみれた概念を静かに批判している。その静かさが心地よい。第2章で検討されているキーワードは、諸行無常一切皆苦諸法無我・縁起・空・煩悩・業・因果・中道・渇愛・無記・天上天下唯我独尊・戒律・三宝(仏法僧)・解脱の15である。いずれも勉強になった。考えるヒントが随所にちりばめられている。

 ただし、悟りのキラメキはない。それどころか、マインドフルネス瞑想に対する批判(128ページ)や座禅を軽んじる姿勢(130ページ)を見ると、どこかの教団に属しているような心性が窺える。

 仏教本というカテゴリーから上記リンクを組んだのだが、個人的には本書の後でルパート・スパイラ著『プレゼンス第1巻 安らぎと幸福の技術』を読むと理解が進むと思う。

 著者名がペンネームかどうかも定かでない上、文章はやたらと改行が多い。ブログを編んだとはいえセンスがなさすぎる。既成仏教を批判しながらも、信仰の領域を脱しきれていない。