古本屋の殴り書き

書評と雑文

「手放し」の法則/『人生を変える一番シンプルな方法 セドナメソッド』ヘイル・ドゥオスキン

『手にとるようにNLPがわかる本』加藤聖龍
『NLPフレーム・チェンジ 視点が変わる〈リフレーミング〉7つの技術』L・マイケル・ホール、ボビー・G・ボーデンハマー
『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー
『未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する』城ノ石ゆかり
『マンガでわかる 仕事もプライベートもうまくいく 感情のしくみ』城ノ石ゆかり監修、今谷鉄柱作画
『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』由佐美加子、天外伺朗
『無意識がわかれば人生が変わる 「現実」は4つのメンタルモデルからつくり出される』前野隆司、由佐美加子
『ザ・メンタルモデル ワークブック 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフト』由佐美加子、中村伸也
『過去にも未来にもとらわれない生き方 スピリチュアルな目覚めが「自分」を解放する』ステファン・ボディアン
『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル

 ・「手放し」の法則

『ゆだねるということ あなたの人生に奇跡を起こす法』ディーパック・チョプラ
『タオを生きる あるがままを受け入れる81の言葉』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース
『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる』那智タケシ

悟りとは
必読書リスト その五

 ドゥオスキン氏は、2007年に全世界で話題となった''The Secret''(邦訳『ザ・シークレット角川書店)の中で教師の一人として紹介されている世界的な指導者です。(「新版まえがき」安藤理)

【『人生を変える一番シンプルな方法 セドナメソッド』ヘイル・ドゥオスキン:安藤理〈あんどう・おさむ〉監修、乾真由美〈いぬい・まゆみ〉訳(主婦の友社、2008年/新版、2014年/原書、2003年)】

 米アリゾナ州セドナでしか受けることのできなかったセミナーを1冊の本にまとめた内容。メソッドの名前が地名なのは好ましい。個人名にしてしまえば自我の宣揚となるからだ。

 セドナメソッドバイロン・ケイティの「ワーク」とほぼ同じアプローチ法である。簡単な質問で脳と思考の深層に切り込む。尚、セドナメソッドを開発したのはレスター・レヴェンソンで、ヘイル・ドゥオスキンが体系化した。

セドナ・メソッドのレスター・レヴェンソンのあまり知られていないお話 - イルチブレインヨガ神戸新長田スタジオ
レスターの物語 (1) 病院にて | レスター・レヴェンソン(セドナメソッド創始者)の珠玉の言葉
セドナメソッド創始者、レスター・レベンソンの珠玉の対話集

 尚、『ザ・シークレット』は一部しか読んでいないが、動画は全部視聴した。個人的には一定の評価をしている。所謂(いわゆる)、「引き寄せの法則」だが、キリスト教におけるニューソート運動と同じ文脈で捉えた(『ニューソート その系譜と現代的意義』マーチン・A・ラーソン)。

 あるいは、神智学協会(『仏教と西洋の出会いフレデリックルノワール)やエサレン協会(『エスリンとアメリカの覚醒』ウォルター・トルーエット・アンダーソン)のような匂いを放っている。批判するのは簡単なのだが、そこから咲いた花を無視することはできない。

 このように考えると現代の悟りの大きな潮流であるアドヴァイタ(不二一元論/ノンデュアリティ〈非二元〉)は、大乗仏教における般若部や龍樹の『中論』と酷似している。

 この本ではセドナメソッドという、これからの人生で毎日使える手法を学んでいきます。しなければならない、あるいはやりたい、とわかっていることを実行するとき、道をふさいでいた感情の重荷をすべて手放し始めたら、何をやってもうまくいくことに気づくことでしょう。この本では「しなければならない」「してはならない」こと、あるいはあなたが人生で試してみる「べき」新しい振る舞いのリストを与えたりはしません。私たちはもう十分に「ねばならない」で自分を縛っています。その代わりに、内側から自分を変えることを学んでいきましょう。【内側から自分を変えれば、その変化は永久に続く】のです。

「感情の重荷」がキーワードである。傷ついた時に抱いた負の感情を人間は引きずる。そもそも性格自体が「最初に親から拒否された時の反応」に基づいていると考えられている。傷はいつまで経っても癒えることがない。忘れるまでは。

 その場で白黒をつけるよう努めている私でも、「あそこで怒鳴っておくべきだったな」とか「あれは殴っていいタイミングだった」と思うことが数多くある。で、「なぜ怒鳴らなかったのか?」「どうして殴らなかったのか?」と我が身を苛(さいな)むわけだよ。

 我々はなぜ重たい荷物を好きこのんで持ち続けるのだろうか?

 失望や不幸や誤解を生み出す主な原因のひとつは、制限された考えや感情を持ち続けることです。不適切なのは「持ち続ける」ことそのものではありません。多くの場合、持ち続けることは理にかなっています。たとえば、運転している自動車のハンドルを、上っているはしごを持ち続けるな、とは言いません。そんなことをしたら明らかに不幸な目に遭います。しかし、ためにならないのにもかかわらず、ひとつの視点や考えを持ち続けたことはありませんか。ある感情を受け入れたり折り合いをつけたり、その感情のもととなった出来事を変えたりすることはできないのに、感情を持ち続けたことはありませんか。引き金となった最初の出来事がずっと前に終わったことであっても、緊張や不安を持ち続けたことはありませんか。本書の中で「持ち続ける・保持する」という言葉が指しているのは、このような状態です。
 持ち続けることの反対は何でしょう。そう、もちろん「手放す」ことです。手放すことも持ち続けることも、生きている中で自然に起きることです。このことを根本的に理解することがセドナメソッドの基礎となります。

 特に親子関係がこじれると大変である(『生きる技法安冨歩/『消えたい 虐待された人の生き方から知る心の幸せ高橋和巳)。あるいは学校でのいじめなど。

 感情がわき起こったときに、それを十分に感じとり、必要に応じて手放す代わりに抑圧してしまうと、感情は消えないまま心に留まります。感情と向き合うことを避けると、感情が自分の中を流れ、よい方向に変わったり解消したりすることを妨げてしまうのです。
 ここで「抑圧」と言っているのは、感情にふたをしたり、奥底に閉じ込めたりして、本当に感じていることを否定し、抑え込み、ないふりをすることです。意識に上るどんな感情も、解放されなければ潜在意識と呼ばれる心の部分に自動的にため込まれます。感情を抑圧する方法の大部分は、向き合うことを避けること、感情から目を背けることです。

 私の場合は、あらん限りの想像力を駆使して憎い相手を殺す方法を考える。凌遅刑など(笑)。既に十数人を殺してしまった。そこまでやってしまうと、相手にも親や兄弟がいることを思わずにはいられなくなる。そうした人々の悲しみを思えば、やはり安易に殺すわけにはいかない。

 もっと大切なのは「私の感情」が正しいとは限らないことである。そもそも感情は往々にして誤るものだ。誤った判断によって誤った感情を抱いたとすれば、誤った行動を取りかねない。

 全く逆説的ではあるが、私の場合は「抑圧」した方がよさそうだ。あまりにも抑圧しなさすぎるので(笑)。