古本屋の殴り書き

書評と雑文

平田篤穏の丹田法/『古武術と身体 日本人の身体感覚を呼び起こす』大宮司朗

『惣角流浪』今野敏
『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』エックハルト・トール

 ・白隠禅師、内観の秘法
 ・白隠禅師、軟酥の法
 ・平田篤穏〈ひらた・あつやす〉の丹田

『白隠禅師 健康法と逸話』直木公彦
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌
『静坐のすすめ』佐保田鶴治、佐藤幸治編著
・『瞬間ヒーリングQEのすべて キンズロー・システム実践ガイドブック』フランク・キンズロー
『瞬間ヒーリングの秘密 QE:純粋な気づきがもたらす驚異の癒し』フランク・キンズロー
・『クォンタム・リヴィングの秘密 純粋な気づきから生きる』フランク・キンズロー
・『ユーフィーリング! 内なるやすらぎと外なる豊かさを創造する技法』フランク・キンズロー

お腹から悟る
身体革命
 

 養父篤穏〈あつやす〉はその気を練り畳む養生法を篤胤〈あつたね〉に語った。
「毎晩、寝室に入ったならば、眠りに就く前に次のようにするのだ」、

 1.まず仰向きに寝る。
 2.次いで両足を揃えてかかとを押し出すように強く踏み伸ばせ。
 3.そして全身の気を臍のあたりから、その下の丹田、そして腰、脚、足の裏にまで充たすのだ。
 4.次には指を折って、呼吸を百息まで数えるがよい。
 5.呼吸を百息数え終わったならば、踏みしめた力を緩(ゆる)めよ。
 6.これを一晩に4~5回続けるのだ。

「これを行えば、元気が全身に充満して、腹中にあるしこりなども消える。どのような良薬も、この術に優るものはないのだ」と、養父は服をはだけてその腹を出した。見れば、腹力は充実して、張って固いことコツコツ音がするようであったとして、この法の効能を強調している。
 篤胤の父にこの養生法を教えた人が、『夜船閑話』の影響で行っていたのか、それとも他から学んだのかは分からないが、このやりかたは、白隠禅師が『夜船閑話』に記した内観の秘法における仏教的な言辞を省き、その代わりに息を数えるという数息(すうそく)法を併用するものである。
 白幽仙人自体が存在したかどうかは定かではないが、もし存在したとしたら、禅を学ぶ白隠のために白隠がやりやすいように仏教的な言葉を用いて気海丹田に気を充実させる法を伝えたとも考えられる。だが、単に気の充実だけであるならば、平田篤胤が『志都の石屋』(ママ)に記した法のほうが万人向きではある。

【『古武術と身体 日本人の身体感覚を呼び起こす』大宮司朗〈おおみや・しろう〉(原書房、2003年)】

 気功では数息(す【う】そく)と言うようだ。仏教だと数息観(すそくかん)と名づける。

 こういうのは全部試してみて自分に合う方法を探ればよい。自分の体に尋ねるのが一番だ。

 それにしても、古来から日本に「インナーボディとつながるエクササイズ」が存在したことに驚かされる。あるいはエックハルト・トールの悟りが温故知新に至ったと見るべきか。

 昨今は様々なセミナー、ワークショップ、セッションなどが賑々(にぎにび)しいが、安くても5000円、高いと5~10万円もするのがある。私もかつて7000円の動画をダウンロード購入したことがある。それがどうだ、書籍だと2000~3000円で驚くほど有意な情報が惜し気(げ)もなく公開されている。本を読まない人は愚かであると思う。