・弾みをつけない
・『ヨガによる病気の治し方 病気を活用した自己改造法』沖正弘
・『ヨガの喜び』沖正弘
ヨガの各心身訓練法(体操法・呼吸法・食事法・精神統一法・座禅・信仰・哲学)は、解脱すなわち、心身霊の絶対的な自由解放の目的に達するためのくふうおよび手段として出発したものである。対位法や体操法の目的もその主眼はこころの安定につながるものである(こころとからだと生活はひとつのものであるという見解が各訓練法の根幹である)。この点から普通一般の体操やスポーツとの相違が生まれたのであろう。その相違点とは、
(イ)各動作の前にはかならず合掌合蹠(がっしょうがっせき)し、深呼吸を行なってこころを落ち着ける。
(ロ)ひとつひとつの動作をゆっくりと行なう。
(ハ)呼吸のリズムを重視する。
(ニ)その動作によって影響を与えていく部分に注意を集中させ移動していく。
(ホ)動作中は極度に緊張力を高める。一動作終了後は、完全にくつろぐくふうをしてしばらく安静を保つ。
(ヘ)呼吸が自然になってから、つぎの動作に移るのだが、ハズミを利用したような敏速なやり方は行なわない。
この実施法は、ポーズの行ない方の原則で、精神集中と呼吸調整に主眼をおいており、動作化された座禅と心得ればよく、ヨガの基本ポーズ実施中にだんだんこころの落ち着いてくるのを味わうことができる。また、ヨガの各行法実施の目的が、自己コントロール力を身につけることであるから、体操法や体位法にも、コントロール力修練の基本原則である“呼吸の調整と精神集中”が伴われていなくてはならないことを銘記したい。【『ヨガによる健康の秘訣 足の裏から頭の先までの完全健康』沖正弘〈おき・まさひろ〉(白楊社、1964年)】
(ヘ)の「弾みをつけない」に眼が吸い寄せられた。数ヶ月前に見た動画で西山創〈にしやま・はじめ〉が「等速運動は疲れない」と語っていたことを思い出した。因みに西山がミット越しにパンチを受けて動くことは滅多にない。
私はこれを常歩(なみあし)に活かした。感覚としては能の構えや摺り足に近い。
日本の武術では「捻(ねじ)らない」「溜めを作らない」ことを重視する。反動や筋肉よりも体幹の重さをそのままパワーにするのだ。
体の使い方において武術と伝統芸能はかなり一致している。それを極めたのが相撲であると考えてよいかもしれない。
もう一つ驚愕の動画を紹介しよう。
・【鉄腕】#岩瀬仁紀 がケガしなかった理由「ボールは後ろで投げる」
あんぐりと開いた口が塞がらなかった。岩瀬仁紀〈いわせ・ひとき〉が主張するのは、結局のところ「溜めを作らない」ことだ。もしもこれが事実であるならば、バレーボールのアタックや、バドミントンのスマッシュも常識が引っくり返る。
検証するためには野球の投球と手裏剣投げを比較する必要がある。誰かやってくれないかな?