古本屋の殴り書き

書評と雑文

週に1日は出家したつもりで過ごす/『大安般守意経入門 苦を滅して強運になる 正しい呼吸法で無心な判断を』西垣広幸

『古武術と身体 日本人の身体感覚を呼び起こす』大宮司朗
『白隠禅師 健康法と逸話』直木公彦
『左脳さん、右脳さん。 あなたにも体感できる意識変容の5ステップ』ネドじゅん
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌

 ・頭頂の蓮華
 ・自己の内面に問う
 ・週に1日は出家したつもりで過ごす

『呼吸による気づきの教え パーリ原典「アーナーパーナサティ・スッタ」詳解』井上ウィマラ

お腹から悟る

 特別に何かを背負っている重い問題がない場合でも、1週間に1日は出家して頭髪をおろし、野宿生活をしてるつもりになって、無責任な神経の図太い人間になってみましょう。うまくいっても慢心せず、損をしても気にせず、批判や軽蔑や無視されても気にしない。どのような配偶者や子ども、嫁や姑、上司や部下や取引先でも気にしない。ボロな服も平気で着る。整髪や化粧もしない。高級な車に乗らない。上等なイスに座らない。下座に座る。汚い所でも平気で寝る。金欠でも気にしない。食事は一食だけを午前中にとる。粗食をする。
 乞食は三日したらやめられないと言われていますが、出家して頭髪をおろし、野宿生活をしているつもりになって無責任な図太い人間になると喜エネルギーが腹部から上昇する神足が始まって気持ちが良く、一度その味を知れば、なかなかやめられなくなります。

【『大安般守意経入門 苦を滅して強運になる 正しい呼吸法で無心な判断を』西垣広幸〈にしがき・ひろゆき〉(同友館、1993年)】

 私は本書を読んで明らかに変わった。

 例えば上記テキストだと、「無責任な神経の図太い人間」は普段からそうなので問題ない。私にとって重要なのは「高級な車に乗らない」以下である。特に「食事は一食だけを午前中にとる」の一言は、ブッダ在世の托鉢を踏襲するもので初めて腑に落ちた。

 また、職場ではソファで寝ているのだが、クッションが柔らかすぎて腰を痛めることに不平を漏らしている矢先に本書を読んだ。寝心地のよさを求める自分の姿がくっきりと浮かび上がった。

 某手技療法家は「3日断食をすれば大概の病気は治る」と断言している。

 人生の豊かさを我々は「快」を目指すことで実現しようとしているが、実はこれが不幸の原因になりかねない。不快=不幸ではない。

「いいバイクに乗りたい」と常々思う。でも、原付のボロバイクでも風を楽しむことは可能なのだ。我がバーディー50はエンジンオイルを変えてからはエンジン音も軽快だ。

 今日は夏を思わせる陽射しの1日であった。短パンで大型バイクに乗ることはできない。原付には原付の快感がある。法定速度30kmで味わう風と光を侮るなかれ。