・『壊れた脳 生存する知』山田規畝子
・『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』ロバート・カーソン
・『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン
・『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
・『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ
・『脳はいかにして〈神〉を見るか 宗教体験のブレイン・サイエンス』アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ロース
・脳卒中が起こった瞬間 その一
・脳卒中が起こった瞬間 その二
・脳卒中が起こった瞬間 その三
・ジル・ボルト・テイラー「脳卒中体験を語る」
・『無自己の体験』バーナデット・ロバーツ
・ジャッギー・ヴァースデーヴからサドグルへ転身したストーリー
・『脳は奇跡を起こす』ノーマン・ドイジ
・『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』ノーマン・ドイジ
・『瞑想メソッドで始めるメンタル強化法 もう“左脳”に振り回されない』枡田智
・『左脳さん、右脳さん。 あなたにも体感できる意識変容の5ステップ』ネドじゅん
・『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
・『人生を変える一番シンプルな方法 セドナメソッド』ヘイル・ドゥオスキン
・『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース
・『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる』那智タケシ
・『二十一世紀の諸法無我 断片と統合 新しき超人たちへの福音』那智タケシ
・『覚醒の炎 プンジャジの教え』デーヴィッド・ゴッドマン
(うわ、わたしって、すごく変でびっくりしちゃう生きもの。生きてる! これって生きてるってことよね! 海水がふくろにいっぱい詰まってるのよ。ここで、こんなかたちで、意識のある心があって、このからだは生きるための乗り物。ひとつの心を分け合う、数兆の細胞のカタマリ。それが今ここで、命として栄えてるってこと。スゴイ、これってスゴイよね! わたしはさいぼうでできた命、ううん、器用な手先と認識の心をもった、分子でできた命なんだわ!)
【『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー:竹内薫〈たけうち・かおる〉訳(『奇跡の脳』新潮社、2009年/新潮文庫、2012年)】
リンク先が多いため少し減らした。「本書を読むことで長年にわたる鬱状態から脱することができた」人物がいる。枡田智〈ますだ・あきら〉である。枡田は長期の不安状態から解き放たれ、直後に森林瞑想を編み出すに至る。「一冊の本が人を救う」ことがあるのだ。同じ本を読んだにもかかわらず、「フーーーン」と感心しただけの私とは天地雲泥の開きがある。
ジル・ボルト・テイラーの経験は既に世界的な広がりを見せていた道教の「今ここ」という視点を補強し、その悟りを思わせる状態に宗教界は激震した。神経解剖学者が語る赤裸々な変容体験に、仏典を漢訳した鳩摩羅什〈くまらじゅう〉を想起した。ジル・ボルト・テイラーは科学と悟りを結び、西洋と東洋をも結びつけたという意味で翻訳者に見えたのだ。
ただし、翻訳が悪い。個人的に竹内薫が大の苦手である。山形浩生〈やまがた・ひろお〉と並んで苦手翻訳家ツートップである。少しばかり入力すれば誰もが気づくと思うが、読点の位置と平仮名の使い方が明らかにおかしい。上記テキストについては、脳卒中で普通の状態ではないことを表現した可能性もあるが(「細胞」「さいぼう」など)、かえって裏目に出てしまっている。
私が本書を読んで立ちどころに悟ったのは、「『死ねば仏』という日本特有の考え方は案外正しいのかもしれないな」ということだった。
・死の瞬間に脳は永遠を体験する/『スピリチュアリズム』苫米地英人
もちろん、四苦の中に死苦があるわけだから、苦しみや絶望、痛みや懊悩はあるに違いない。その向こう側にやわらかでおだやかな世界が広がっているような気がするのだ。これを漢字では「和」(やわらか、おだやか)と書く。
ジル・ボルト・テイラーの経験は、エックハルト・トールが説く「からだに住まうこと」そのものである。ネドじゅん流にいえば、出血で左脳が機能を止めた時、自然に右脳世界が開けたわけだ。
左脳優位の凡夫はここで思う。「右脳で出血したらどうなるのか?」と(笑)。ま、その時はその時だ。